写真
---> 拡大表示



* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




338 離れを建てる(23)

 僕のつれあいは、主婦でもなければ、家で食べる料理のほとんどを僕が作っているので、仮に僕らが別荘へ行っても、僕が料理を作ることになると思うが、とにかく週休二日の勤め人で、しかもその週休二日が火曜と日曜といったふうにバラバラに分かれているので、およそ週末を別荘で過ごす生活など想像も出来ない。もし仮に出来たとしても、つれあいは僕に「あなただけ行ってらっしゃい、あたしゃ疲れたから家で寝てる」と言うであろうことが火を見るよりも明らかだ。なので、僕も空想的に別荘が欲しいとは思っても、実際買おうというふうには一歩も動くことはなかった。買っても、行かないことが目に見えているからだ。僕は、可能な限りつれあいと同じ時間を過ごすことが好きなのである。だから、一人で別荘に行くなどバカげたことだし、そもそもの選択肢にない。

 しかし、別荘がすぐ近くにあれば、往復に要する負担感の問題は解決する。そう、要するに、今建築中の離れは、僕らにとっての文字通り別荘なのである。わずか数歩で行ける別荘であり、母屋で得られない雰囲気を味わえる別荘、ただ住まうだけではない趣味性に富んだ別荘、いつでも客が気兼ねなく泊まれる別荘、ひたすら酒を美味しく飲むための別荘、決して広々とした場所にはないし、見晴らしも悪いし、涼やかな高原の風が吹くこともなければ、打ち寄せる波音もしないし、潮風が磯の香りを運ぶこともないのだが、その在り方は僕らにとって別荘以外の何物でもないのである。

 ただ、何年先の話かはわからないが、つれあいがいずれ仕事を辞めたら、二人とも時間が自由に使えるようになる。その時は、僕ももうそんなには仕事をしていないだろうし、車だって一台で済むようになっているだろう。そうしたら、小さな離れに住まいを移し、いま住んでいる建売住宅を売って、少しは遠くの、ここよりは広々として見晴らしのいい別荘を買おうかとも考えている。が、まだまだうんざりするほどのローンが残っているのであった。


 さて、その目と鼻の先にある別荘も、いよいよ引き渡しの日が迫ってきた。



※「離れを建てる」を第1回から読みたい方は、こちら


2006年09月27日掲載

<--Back     Next-->



Copyright :
マカロニ・アンモナイト編集部