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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




343 離れを建てる 〜short break 佐渡島への旅(1)

 佐渡島に行った。

 離れはまだ完成していない。我々が催促しないので、工務店もすっかり安心しきっているのだろう。そうとは言わないが、たぶんこちらを後回しにしているに違いない。いくら別に住む家があるとはいっても、こちらにも色々と都合がある。未だ電気も繋がらず水も出ない家のローンを既に支払っているのだ。当然、35年分の金利込みである。離れの完成を機に「夏合宿だ」と騒いでいたマンガコースの学生たちだって、とうとう一度も呼べないまま、冷房から囲炉裏の火が恋しい季節に移ろうとしている。最初は2月着工6月納期の予定だった。それが4月着工8月納期に伸び、尋ねるたびに半月先、一ヶ月先と先延ばしにされ、今に至ってもまだ完成していない。まるで手の遅いマンガ家のようだが、我々の職業だととっくにクビになっている。既に原稿が落ちているからだ。原稿が遅いからといって、印刷所は待ってはくれない。出来た日を完成日にするというわけにはいかないのである。たまにそういう仕事もないこともないが、普通はそうだ。
 そんなこんなで、とうとう我慢できなくなり、先日工務店社長にガツンと雷を落としたら、まさかあの福山夫妻が怒ることはあるまいと高をくくっていたに違いない社長も青天の霹靂に一瞬目が覚めたのか、とりあえず続きの工事が始まった。ついでに、完成期日を確約した念書も書いてもらった。

 そんな最中に、二泊三日の佐渡島への旅に出た。
 離れの完成を見て、ひと仕事終えた後のすっきりした気持ちで旅行しようと思っていたのだが、それを待っているといつになるやらわからない。旅行といっても、ほとんど仕事である。というのも、老義父のためにパッケージングした旅行だからだ。



※「離れを建てる」を第1回から読みたい方は、こちら


2006年11月08日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部