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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




345 離れを建てる 〜short break 佐渡島への旅(3)

 そうして介護施設で義父は暮らすようになるのだが、そこは空調も床暖房も整い、三度のメシはぴったし時間通りに出てくる、至れり尽くせりのまさに天国のような場所である。ただ、ご老人たちが一人で自由に出歩いたりすると大変な危険が伴うので、建物の外に繋がるエレベーターには所員の許可がないと乗ることが出来ない仕組みになっている。つまり、施設には目に見えない鍵が掛かっていて、ソフトな牢獄の面も併せ持っているのだ。
 確かに安全で快適ではあるが、そんな牢獄に一年中閉じこめているのも気の毒だという気持ちが我々には当然ある。娘だと特にそう思うのだろう。そこで、せめて月に一度は外へ美味しいものを食べに、せめて年二回くらいは温泉旅行に連れ出してあげようとつれあいが定期的に旅行を計画し、今回は僕が佐渡島という目的地を選んだというわけである。

 どうして佐渡なのかというと、前々から佐渡島という場所が僕にはどうも気になってしょうがなかったからだ。というのも、昔から僕の周囲に佐渡島出身者が何人もいて、しかも皆同じ町の出身者だったりするのである。現にいま僕が毎週通っている専門学校にも知っているだけで佐渡出身の教師が二人いる。一人はやはりその町の生まれらしい。佐渡には町が一つしかないのか? と、ついツッコミを入れたくなってしまうが、もちろんそういうことはない。しかし、佐渡島の人口は現在6万数千人である。1200万人を超える対東京人口比率からすると、やけに佐渡人に出会い過ぎる気がしていたのだ。いや、別に出会っても全然かまわないのであるが、妙に気にはなるのである。そんなつまらない疑問もあって、「どこへ行こうか?」という連れあいの声に躊躇することなく、僕は「佐渡」と答えたのだった。

 佐渡へは、まず中央高速〜長野自動車道路〜上信越道路を経由し、直江津港からフェリーで渡ることにした。帰路は両津港へ行き、フェリーで新潟港〜関越〜圏央道と、ほぼ一筆書きのコースをとる予定である。



※「離れを建てる」を第1回から読みたい方は、こちら


2006年11月22日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部