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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




347 離れを建てる 〜short break 佐渡島への旅(5)

 写真をあらかた撮り尽くすと客室に下りていき、つれあいと義父を外は気持ちいいから甲板に出ないかと誘った。風はあるが冷たくはなく、義父は陽の当たる甲板のベンチで気持ち良さげであった。直江津港から佐渡の小木港まで約2時間40分という決して短くはない航程だが、初めて乗る航路ということもあって、ほとんど退屈する暇もなく船は無事到着した。
 下船すると、そのまま国道350号線を北上、佐渡での宿泊地である相川という町に向かった。なぜ相川かといえば、そこは夕陽がとても美しく、露天風呂のあるそこそこ立派なホテルがあるからと、ご当地出身の知人がインターネットからプリントアウトした資料の束を持参して教えてくれたのだ。

 初めて運転する道ほど楽しいものはない。まして、佐渡島の道路はスカスカに空いている。その上、信号機が滅多にない。高速道路もないかわりに、ドライブの快適さを妨げる信号機にもほとんど出くわさないのである。小木港を出て相川のホテルに到着するまで40〜50分くらいは走ったかと思うが、果たして信号機が何個あっただろう? 「そういえば、まだ一度も信号機に出会ってないね」と、つれあいがまず気づき、そこからはいつ最初の信号機に出会うかが僕らの関心事になるのだが、その時間も距離も決して短くはなかったはずである。普段、渋滞した道路を数限りない信号機に遮断されながら運転している身からすると、こうした道路状況は天国そのものに思える。しかも、高速道路とは違って、好きな速度で走れ好きな場所に停車できるから、車であるにもかかわらず、あちこち散歩する感覚で走れるのである。

 その天国のような道のとりあえずの終点である相川に到着すると、確かに知人が推奨しただけの美しい夕陽がまちかまえていた。



※「離れを建てる 〜short break 佐渡島への旅〜」を第1回から読みたい方は、こちら


2006年12月06日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部