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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




353 離れを建てる(30)

 囲炉裏には自在鉤がつきものである。
 とはいえ、買ってぶら下げても実際使うかどうかは未知数である。原則として、囲炉裏を調理用コンロとしては使わないのだから、ただの飾りになってしまう予感のほうが強い。しかし、買ってみた。値段がうんと安いという理由もあるが、単に昔ながらの自在鉤ではなくて、モダン・レトロとも言うべき、都会的センスのすっきりしたデザインのものを選んだ。結果、単なる飾りにしかならなかったとしても、それはそれでいいではないかと。いかにもいかにも過ぎて、いささか面映ゆい気がしないでもないが。

 さて、囲炉裏の次はアップライト。
 部屋を床下から照らしてみたかったのである。もしかしたら座ったとき、目に近いので眩しいかもしれないという懸念はあったが、調光スイッチに繋げば調整は出来るだろうと考えた。
 しかし、照明器具を床下に埋め込む人など世の中にはほとんどいないらしくて、電気工事業者の人も屋内用のそうした製品には心当たりがないという。ただ、玄関アプローチやら舗道などに使うエクステリア用のものなら一つだけ知っているという。しかし、高価であるとも。防水設計だから高いのかもしれない。値段を訊くと確かに高いが、しかし、この照明方法だけはこの離れのオリジナリティを主張するアイテムとして絶対に外したくなかったから、そのエクステリア用の照明器具を大奮発して4基付けることにした。大奮発するのは僕ではなく、施主のつれあいであるが。

 エクステリア用のそれは、コンクリートにすっぽり埋め込むためであろう鉄製の筒が付いていたが、本体との間にけっこうな隙間が出来る。どうにもいただけないので、いっそ筒の部分は捨て、器具の中身だけを使用してもらうことにした。そのほうが、ずっとすっきりして美しいのである。

 ただ、大工さんにとっては、この器具を床と面一にピッタリ穴を開けるのは、大工の腕が試される非常に難しい細工だったようだ。穴開けの時に出来たに違いない、くり抜き用ドリルの歯がハネたような痕が床に出来ていることからも、苦労したであろうことが察せられる。



※「離れを建てる」を第1回から読みたい方は、こちら


2007年01月24日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部