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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




358 アニメ監督デビュー(4)〜短編オムニバス映画『Genius Party』

「福山さん、アニメをやってみたいようなことをホームページで書いてたから」と森本さんが追い打ちを掛ける。

 いや、確かにアニメのソフトは何がいいか詳しい人がいたら教えてください、みたいなことはBBSに書いて話題にしたことはある。しかし、その時考えていたのはせいぜい自前のホームページに発表する程度の遊び半分のレベルのものである。アニメ語など片言すらろくに喋れない観光客が、ネイティヴなアニメ語を話す気鋭のアニメーターたちと肩を並べて、いきなり劇場用のアニメを監督して作るなどというのは、軟式ボールしか投げたことのない草野球のへなちょこピッチャーが、プロ野球の公式戦でマウンドを踏むようなものである。そんな大それた考えはつゆほどもなかった。

 だが、人間は弱い生き物である。
 とりわけ僕は、新しいことと面白そうなことに滅法弱い。新しいこと、これまで一度もやったことのないことをやるのが三度の飯の次くらいに好きなのである。それだけ飽きっぽいとも言えるのだが、社長にこの上ない褒め言葉でおだてられれば、豚も木に登る。アニメならマンガと兄弟の関係ということで自分にも出来そうな気がしてくるし、本当は取り返しのつかない失敗をしでかすかもしれないリスクが控えているかもしれないのに、とりあえずそっちのほうは目が霞んで見えなくなってしまうのである。

「じゃあ、Sさん、福山さんにウチの作品のプレゼン用のヴィデオを見て貰って」

 といった調子で、社長がこの話をぐいぐいリードしていく。何やら面白おかしくて、やがて恐い話に……なっていかなければいいのだが。


2007年02月28日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部