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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




360 アニメ監督デビュー(6)〜短編オムニバス映画『Genius Party』

 なぜマンガのように描けないのか?

 答は簡単だ。
 要するに、初めての経験ゆえに、描き方がよくわからないのである。
 わからないわからないと言っていたら、専門学校アニメ科のW先生が「となりのトトロ」の絵コンテ集を貸してくださった。なるほど、こういう本があるのかと思って(そりゃあるだろう!)早速ページをめくってみたが、ますますわからなくなった。いや、わからないという言い方は少し違うかもしれない。シナリオを絵にしていくだけなら、そう難しい話ではない。だが、アニメはマンガと違って絵が動くのである。しかし、自然界のように複雑且つ微細な動きをするわけではないし、実写のようにカメラを回すだけで何でも撮れるというものでもない。手間ヒマ掛けないと絵が微動だにしないのである。どこをどう動かせば効果的かということを考えないと、動かしたほうが面白いシーンを動かさず、動かしてもあまり面白くないものを膨大な手間ヒマ掛けて動かすという愚を犯すことになりかねない、というふうに僕は考えてしまったのだ。

 つまり、そのアニメの特質である「絵が動く」という考え方に慣れていないため、「動く→動かさなければならない」という強迫観念に囚われてしまったというわけだ。とりわけ、スタジオ4℃の作品は時にめまぐるしいほどよく動くし、そのスピード感が魅力でもある。そのプレッシャーは大きい。だから、今描こうとしているシーンがその特質を全然生かせていないのではないかと迷い始めると、鉛筆の先がピタッと止まって動かなくなってしまうのである。

 一旦、鉛筆が動かなくなると、次の一歩が恐ろしくなって、なかなか踏み出せなくなってしまうものだ。マンガの神様であれば、僕も長年描いてきたから時々下りてくる時があるような気がしているが、アニメの神様はいったいいるのかいないのか、その存在すら疑わしい日々が続くのだった。


2007年03月14日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部