* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number


写真
---> 拡大表示










361 アニメ監督デビュー(7)〜短編オムニバス映画『Genius Party』

 絵コンテが描けないのは、絵コンテ用紙との相性が良くないせいではないかとも疑ってみた。完全に責任転嫁の八つ当たりではあるが、まれにそういうこともないではない。弘法、筆を選ぶ時もあるのだ。たとえば、スタジオ4℃の用紙はとても薄い。消しゴムだとそうでもないのかもしれないが、消し滓が出るのがいやで練りゴムを使う僕には、薄いぺらぺらの紙は具合が悪いには違いないのである。練り消しの強い摩擦力で、何かというと紙がシワシワによれてしまうので、とても気を遣うのだ。

 そこで、練り消しに耐えられる絵コンテ用紙をパソコンで自作しようかとトライしてみたが、B4版の紙に印刷できるプリンタを持っていないことに気がついて即座に断念した。それではいっそ紙に描かないでペンタブを使って描いたらどうかとも思ったが、これもすぐに諦めた。パソコン上だと、それまで描いたものを全部表示しておくわけにもいかないので、前後の繋がりなどの確認にいちいちファイルを起ち上げる手間が掛かって煩わしいのである。

 そうやって、あれやこれや遠回りの努力をしているうちに、その時間が決して無駄ではなかったと思える瞬間がやってくるものだ。絵コンテの完成を待たされているほうからすれば、なんと悠長なことをと苛立つかもしれないが、僕にしてみると、いささか長過ぎるにせよ、結果としてやはりそうした時間が必要だったことを確信するのである。今回にしても、朝起きて机に向かい、白紙のままの絵コンテ用紙を恨めしく眺めながら、どうせまた今日も描けないからと、インターネットにとりあえず逃げたりするお約束の日々だったのだが、その日に限っては「ん、待てよ?」という感じがある。そこで鉛筆を持ってみる。な、なんと描けるではないか。な、な、何が起こったのか?


2007年03月21日掲載

<--Back     Next-->



Copyright :
マカロニ・アンモナイト編集部