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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




363 アニメ監督デビュー(9)〜短編オムニバス映画『Genius Party』

 ちなみに、僕の今回の作品タイトルは「ドアチャイム」である。


 そんなこんなで、一旦マンガ家モードに立ち返り、アニメということをなるべく意識せずに絵コンテを描いていったわけだが、まったく意識しないというのもそれはそれで難しい。何を意識するかというと、やはりあとの絵を描く作業の大変さのことだ。マンガで言えば、たとえば大勢の人間に囲まれる主人公といった絵を描くのは大変である。ヒトコマだけならいいが、そういうシーンがずっと続くと、ものすごい数の人を描く羽目になる。キャラクターも次のコマ次のコマと顔も服装も合わせていく必要があるし、頭数だけいい加減に描けばいいってものではなくなる。最初にそういう設計図を引いてしまうと、あとの作業に大きくツケが回ってしまうのである。

 腕のある大勢のアシスタントがいれば問題ない。
 だが、零細マンガ家だと、不定期のアシスタントが一人だけとかゼロだったりする。アシスタントだけでは賄いきれないので、結局は自ら描くことになる。そうなると、かなりの時間と体力を要することになるのは容易に想像が付くし、締切に間に合わなくなる恐れさえ出てくる。だから最初の設計図の段階で、そうした労働集約型の作業になるような道は極力避けようとするのだが、それにも限界がある。ハナシを面白く、尚かつ絵も魅力的にするには、どうしても避けて通れない道があったりする。しかも、締切までの時間がないときに限って、そういう道しか思いつかなかったりする。

 険しい道を避けようとするのは、長年の職業的習慣で身についた、いわば貧乏性といったものだが、アニメを作るのは初めてである。経験値はゼロに等しい。だから、どういう設計図を引けばどう大変で、どう大変じゃないかは実際のところわかっているわけではない。しかし、絵を描くという作業は同じだから、ある程度の想像はつく。その想像を元に、僕は知らず知らずマンガを描く場合と同じような貧乏性を発揮することになる。それが今思えば失敗であった。



※福山さんのアニメ監督デビュー話を最初から読みたい方は →こちら 


2007年04月04日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部