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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




364 アニメ監督デビュー(10)〜短編オムニバス映画『Genius Party』

 というのも、動かしにくいだろうなと思うアングルを意識的に避けた絵コンテを描いていったのだ。たとえば、ビルが建ち並ぶ街の風景全体を視点移動させながらキャラクターが移動していくといったシーンだと、セルアニメでは技術的に難しい上にものすごい手間を要することは、アニメ経験値ゼロの僕でも容易に想像が付く。まして、人が歩き、車の往来もある風景だとすればなおさらだ。仮に可能だとしても、そのシーンにそれだけの膨大な手間と時間を掛けるだけの意味があるのかということも考える。ここは固定カメラで十分ではないのか、それでも人物を前後に歩かせるのだから、動画をリピートして使える水平移動の歩きよりは遙かに大変かもしれない、といった頼まれもしないコスト計算を僕はいつの間にかしてしまっているのである。悲しいかな、人を使い慣れていない零細マンガ家の貧乏性が取り越し苦労となって、こういう時に出てしまうのだ。

 ところが、現在は3D-CGという神か仏か悪魔のように便利なテクノロジーがある。それを使えば、先述の風景などわけなく動かせることは当然僕も知っている。ただ、絵コンテを描く段階では、僕は3D-CGを使う考えはまったくなく、今回使えるとも思っていなかった。後者の理由は僕の経験及び打ち合わせ不足とも言えるが、とにかく極力セルだけを使った動きのアニメになるような設計を心掛けた。どっちにしても、あの3D-CG特有のデジタルな動きには強い違和感を覚えていたからである。

 だが、それでも結果的に3D-CGの威力を借りなければ描画困難なシーンを設計してしまうことになる。自分ではCGなしでもいけるのではと思って描いたのだが、「このカメラの引き(ズームダウン)具合だと背景画(BG)を壁一面くらいバカでかく描かなきゃなんなくなるので、CGを使わないと難しい」と作画監督が言う。

 なるほど、言われてみれば確かにそうだと思ったが、言われなくては気がつかない。そこがアニメ初心者の初心者たるところである。



※福山さんのアニメ監督デビュー話を最初から読みたい方は →こちら 


2007年04月11日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部