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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




365 アニメ監督デビュー(11)〜短編オムニバス映画『Genius Party』

 かくして、建物の一部や動きを伴う車や電車などに3D-CGを取り入れていくことになるのだが、だったら、あのシーンもこのシーンも最初から3D-CGによる風景を意識したカメラワークにすれば良かったような気がして進行さんに問い合わせたところ、それは難しいという返答であった。通称「コンテ打ち」という、プロデューサーを始め監督や作画監督などが一堂に会し、絵コンテの打ち合わせと最終確認を終えた段階で、その絵コンテは原則として固定され、もう勝手に改変出来なくなるのだ。あとの祭である。

 そういう初歩の初歩さえ知らない素人である。
 が、だからこそアニメの世界に少し変わった匂い(臭い?)の風を吹き込むこともあるかもしれないとは思ってやっている。マンガ家というのは、動きの中の一瞬一瞬を静止した画像で見せる。しかも、ただ見せるのではなく、コマという変形自由なフレームの中に最も美しく見えるようレイアウトする。そして、前後の動きはあくまで読者の想像力に委ねる。つまり、マンガの場合は動かない止まった絵こそが最大の売りであり、そこに作者の美意識がある。

 ところが、アニメは逆に絵が動くという点に最大の魅力があるかわりに、フレームの形は常に横長の長方形と決まっており、マンガ家からすればそれはハンディとも映る。発想としてはマンガ家とは真逆な面がある。その魅力をどう生かし、ハンディをどう克服するかが、アニメランドを訪れたカタコト喋りのガイジン観光客の腕の見せどころである。

 僕がまず考えたのは、マンガ同様に止まった絵を魅力的に見せたいということだった。それと、所詮絵を動かすことではネイティヴなアニメーターに敵いっこないので、そこではとりあえず背伸びはせず、マンガ家の持つ最大の武器であるストーリーテラーとしての面を強く押し出すことに注力する。そして、ドラマをじっくり見せたいので、絵がめまぐるしく動きすぎないことも作画監督にお願いした。見せ方に奇を衒うことも避けた。でもって辿り着いた基本構図が、水平と垂直に放射状という何の変哲もないものであった。



※福山さんのアニメ監督デビュー話を最初から読みたい方は →こちら 


2007年04月18日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部