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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




367 アニメ監督デビュー(13)〜短編オムニバス映画『Genius Party』

「アニメにした場合、福山さんの元の絵とはどうしても違った絵になります」


 という説明は、プロデューサーのSさんからまず最初に聞かされた。それはそうだろう、自分でさえも同じ人物であるべきキャラクターが別の顔になってしまうことが多々あるのだから、他の人が描けば違ってくるのは当たり前である。そういうことを心配してたらアニメなど作れるはずがない。と、当初はそう考えて、なるべく涼しい顔をして気にしないようにしていた。

 だが、いざキャラクター設定の実作業が始まったら、想像していた以上の違いがある。キャラ設定の手順としては、僕がまず登場人物すべてのキャラクターを正面向きと横向きの立ち姿で描く。それが作画監督のTさんの手に渡り、アニメ仕様に整理された絵となって僕の元に還ってくる。それを僕がチェックし、再びTさんに戻す。そういったことを何度も繰り返すうちに、僕の描くキャラクターとの誤差が縮まっていくわけだが、最初はかなりの隔たりがあった。

 Tさんはこの仕事の前に、松本大洋さんの人気漫画「鉄コン筋クリート」を原作とする、やはりスタジオ4℃制作のアニメで原画の仕事に携わっていたらしく、その時の手癖みたいなものが色濃く残っているのだ。作画関係のアニメーターは原則的に他人の絵を描く。その自分とは違う個性の絵を、しかも何百何千枚と描くわけだから、むしろ手癖がついてしまうくらい体に叩き込まないと、キャラクターを表情豊かに描き分けられるものじゃない。原画や作画担当のアニメーターが前の仕事の手癖を次の仕事に残してしまうのは、いわば必然であり勲章とも言える。

 Tさんが携わったその「鉄コン筋クリート」という作品をご存じの方なら、その絵の特徴が即座に思い浮かぶと思うが、要するにキャラクターの体型が紡錘形をしているのだ。ついでに、手も足もこぢんまりしている。その体型が僕のキャラクターに反映されてしまうので、主人公である繊細な雰囲気を持つ高校生が、胴長短足、手足が小さくメタボリックな体型の中年っぽいシルエットになってしまうのだった。



 ※福山さんのアニメ監督デビュー話を最初から読みたい方は →こちら 


2007年05月09日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部