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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




368 アニメ監督デビュー(14)〜短編オムニバス映画『Genius Party』

 僕のアニメの主人公がメタボリックな体型ではいかにもまずい。妙にほのぼのとした癒し系に見えてしまう。主人公は繊細でスリムで脚の長いハンサムな男子高校生でなくてはいけない。そうでないと、ドラマ自体のコンセプトが根底から崩れてしまう。
 そこで、僕がTさんの草稿に赤を入れてシルエットを直す作業をする。そのチェックを元にTさんが修正してきたものを、更にチェックを入れるといった具合に何度かネットを使ってやりとりしていったら、僕の望む絵にみるみる近づいていった。つれあいにその絵を見せながら、「さすが、その道のプロだね」と、とりあえず安堵した。

 が、キャラクター設定の絵はあくまで限定的なアングルの、しかも静止した絵に過ぎない。これからこの絵を動かして演技をさせるわけである。そうした中には、本人ですら描くのが難しいアングルの顔や複雑で微妙な表情が混じってくることが当然予想される。それを、僕ではない他人が描くのである。しかも、作画はTさんだけではない。外部に発注したり、僕が直接知らない人も携わることになるだろうという。そうなると、どれくらい僕の絵から乖離していくのか見当もつかないし、どれくらいの誤差であれば許容範囲とすべきなのかも、今のこの段階では判断できる材料がないので、とにかく最初のレイアウトが上がってくるのをドキドキしながら待つしかない。ちなみに、アニメ用語としてのレイアウトとは、絵コンテを元に描かれた人物と背景の配置を示したカットの設計図のことである。「ことである」などと偉そうに書いているが、これも実は今回初めて知った言葉だ。

 こうした作業と同時並行的に、BG(美術)のほうも進められていて、「福山さん、BGの見本が出来ましたのでチェックお願いします」と製作進行のTさんが言う。 「BGって何ですか?」と何も知らない僕。
 背景のことを言うらしくて、それを専門に描く人のことを美術さんと呼ぶこともこの日初めて知ったのであった。



 ※福山さんのアニメ監督デビュー話を最初から読みたい方は →こちら 


2007年05月16日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部