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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




369 アニメ監督デビュー(15)〜短編オムニバス映画『Genius Party』

 と、その前に、「コンテ打ち」という作業があったことを思い出した。
 これまた、「コンテウチ……って何ですか?」と尋ねる業界音痴な僕であるが、どうやら「絵コンテの打ち合わせ」の略らしい。「ゲンサツ」は「原画撮影」の略、「Vコンテ」は、絵コンテに描かれた絵をヒトコマずつ撮影し、指定された時間配分通りに編集したヴィデオの略というわけで、この業界、けっこうこうした略語が多い。

 ともあれ、アニメ映画は絵コンテがすべての出発点であるらしい。いや、まぁ、マンガでもネームや下絵がないと始まらないのでそうだろうと多少は予測はつくのだが、僕が思っている以上に重要なもののようで、旧約聖書風に言えば、「初めに絵コンテありき」、これがきっちり決まっていないと、世界がまったく動かないのだという。つまり、これから営まれるべき作業のすべての基本設計図が描かれているのが、他ならぬ絵コンテというわけだ。たとえばカットする場所、あるいはカット毎に要する秒数などがそうである。マンガであれば、アニメの絵コンテに相当するネームや下描きはもちろん重要ではあるが、僕などペン入れする過程でいくらでも変更するから、設計図としてはかなりラフなものである。だが、それは一人でやる作業だからこそ可能なのであって、大勢の手を要するアニメではそうはいかない。建物を建てるようなしっかりした設計図がないと、誰一人として動き出すことが出来ないのである。

 そんな大層なものだという自覚もなくて、僕はマンガのネームとラフを描くようなおざなりさで絵コンテを書き上げたわけだが、その打ち合わせをやるという。何をどう決めるのか、ここでも監督経験のない僕にはさっぱり見当も付かなかったのであるが、経験豊富なスタッフの質問に答えるような形で、とにかくすべてのカットの仕様を決めていった。といっても、さすがにカット毎の時間配分に関してはまったく自信がない。実写と違い、想像の中だけで演技する時間を前もって決めることは経験が一度でもないと難しい。下手に我流でやるととんでもないものを作ってしまいそうな気がしたので、そこらへんは作画監督兼演出のTさんに事前にお任せしておいたのだった。

 この時点では、マンガのそれと同じように、絵コンテはまだある程度は自由に変更できるものだと思っていた。



 ※福山さんのアニメ監督デビュー話を最初から読みたい方は →こちら 


2007年05月23日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部