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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




374 アニメ監督デビュー(20)〜短編オムニバス映画『Genius Party』

 その甲斐あってか、どのシーンも僕の絵との溝は埋まって浅くなっていった。更に、他人の描いた僕の絵に目が慣れたせいもあるのだろう、極端な違和感も感じなくなった。もちろん、僕とは違う個性の人たちが描くのだから、違和感ゼロとまではいかない。CGアニメだったら原型が一つしかないので、あとを誰がやってもキャラクターの形そのものがブレることなど原則としてあり得ないが、絵だとどうしてもブレが出る。ある時、通りがかった森本さんにレイアウトを見せながら、「僕のキャラとかなり違うんですけど、(他人が介在するアニメの場合)どこまで直せるもんですか?」と質問した。すると彼は、「とことん直すしかありませんね」と答えた。

 レイアウトのレベルでは、かなりブレが縮まったように思うが、問題はこの間を埋めていく大量の動画である。一難去って一難というところだが、動画は動いているので、案外絵のブレも気にならない、というふうにも聞いた。実際上がってきた動画を見ると、確かに速くて激しい動きの場合は途中にブレた絵が挟まっていても気がつかない。肉眼では動画の一枚一枚を追いきれないのだ。
 だが、キャラクターが向こうからこちらへ歩いてくるのを固定カメラで撮ったような動画の場合は、表情などのブレが露骨に出やすい。そして、この「ドアチャイム」には、そういうカットがやたらと多い。僕もアニメ初心者ではあるが、ただ歩くだけの動画など簡単そうで意外と難しく、苦労した割りには動かし映えがしないんだろうなという察しはおぼろげながらついていた。他にたとえれば、モーツァルトのピアノ曲のようなものだろうか。単純で易しく誰にでも弾けそうなだけに聴衆を唸らせるのは至難の業、つまり弾き映えしない。だが、この物語は、そうした凝った風には見せない何の変哲もない平易な構図と日常の単純且つ単調な動作こそが陰の主役なので、どうしてもそうしたカットが必要だし、多用せざるを得なかったのである。



 ※福山さんのアニメ監督デビュー話を最初から読みたい方は →こちら 


2007年06月27日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部