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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




375 アニメ監督デビュー(21)〜短編オムニバス映画『Genius Party』

 レイアウトやその修正が進んでも、なかなか動く絵を見るまでにはいかない。スタジオに行くたびに、待っているのは静止した画像の画面設計チェックだけという日が続く。画面設計というのは、色味とかコントラストとかボケ具合、あるいはキャラクターの立ち位置の関係などを決定していく作業である。作画室の上の階にあるコンピュータ室でそれをやる。

 そう、僕の「ドアチャイム」は懐かしささえ覚えるような昔ながらのセルアニメ方式だが、今はレイアウトから動画・背景までは紙に手で描き、そこから先はすべてコンピュータを使っての作業となる。セルアニメとは名ばかりで、この作品に関する限りセルを使うことはまったくない。BG(背景)にしても、一切紙は使わずペンタブを使ってモニター上で描く人もいるという。もっとも、方法論的にはセルアニメの手法をコンピュータ上に移し替えただけとも言えるので、セルアニメという名前がそのまま引き継がれているのだろう。たとえば、以前だとセルに描かれた動画に裏からにかわ入りのポスターカラーを塗って色を付けることを「彩色」と呼んだが、今は同じことをPhotoShopで行っている。
 名前だけが残っているといえば、「撮影」という言い方もそうだ。かつてディズニー・プロダクションには、ビルの何階分もの距離を上下にレール移動できる巨大な撮影用カメラがあったそうだが、スタジオ4℃にはカメラなどどこを探してもない。おそらく他のアニメスタジオにもないだろう。もしあったとしても、きっと倉庫の中で埃を被っているに違いない。その長らくカメラが果たしてきた役割は、数台の大型スキャナとアニメ制作用のコンピュータ・ソフトウェアに取って代わられてしまったのである。

 そういう僕も、床にへばりついたスクリーントーンの切れ端を爪で取り除く作業から解放されて、もう10数年になる。



 ※福山さんのアニメ監督デビュー話を最初から読みたい方は →こちら 


2007年07月04日掲載

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