* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number


写真
---> 拡大表示










376 アニメ監督デビュー(22)〜短編オムニバス映画『Genius Party』

 なかなか動く絵にお目にかかれない状態の中、音楽やSE(効果音)、それにアフレコの打ち合わせが入ってくる。

「Genius Party」の音楽監督は、やはりこのオムニバスの一篇「BABY BLUE」を制作中の渡辺信一郎監督で、最初の打ち合わせでは、まずは僕の音楽の好みや希望を聞くところまで。それを参考に渡辺監督が最適な作曲家を探すという段取りになる。僕は自分でも日々いろんな楽器を弾いては近所迷惑な騒音を掻き鳴らすのを愉しみとしているくらいだから、音楽は当然好きである。好き過ぎると言ってもいいかもしれない。もっとも、聴くよりは音を出すほうに偏った好きではあるが。しかし、過ぎたるは及ばざるが如し、こうした監督業の機会などもしかしたら二度とないかもしれないから、あそこはピアノ系のジャズで、ここは弦中心の室内楽で、走るシーンではドンシャリなハードロックでと、ついつい見境もなく欲張ってしまいそうである。その結果、作品イメージはまるで統一感のないとっちらかったものになるだろう。だから、最終的にはそうしないだろうことは自分でもわかっている。

 しかし、そうしないためには、何か一つの統一されたトーン以外は全部捨てることになるわけで、僕にはそれがとてつもなく困難な作業に思えるのである。つまり、使ってみたい音楽のどの一つも捨てたくないのだ。いわば捨てられない症候群というわけだが、その病に自分が嵌りそうな予感が強くしたので、僕はプロデューサーから音楽についての打診があるたびにこう答えてきた。

「音楽が好きなだけに、いっそ音楽監督さんに丸ごとお任せしようかと思います」



 ※福山さんのアニメ監督デビュー話を最初から読みたい方は →こちら 


2007年07月11日掲載

<--Back     Next-->

週休六日のススメの目次へ--->



Copyright :
マカロニ・アンモナイト編集部