* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number


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379 アニメ監督デビュー(25)〜短編オムニバス映画『Genius Party』

 結果から言えば、今度のアニメを作る過程で僕が最も楽しいと思ったのはアフレコの現場であった。マンガ家の仕事は初めから終わりまでほとんど机を離れることはない。机の上にしか必要な作業がないからだ。ところが、アニメにはご存じの通り、アフレコという作業がある。もちろん、その作業は声優さんや俳優さんなどがやる。当たり前だが、僕はやらない。まして、僕の机の上でやるわけでもない。それ専用のスタジオで行うことになる。つまり、外の仕事である。ということは、僕も出かけなくてはいけないということだ。自分の仕事場ではない場所へ出かけて行って仕事をするなんて、マンガ家には極めて珍しいことである。

 もっとも、4℃のスタジオにはほぼ毎週木曜日に通ってはいた。しかし、そこにはちゃんと僕専用の机が用意されているし、やることといえば、やはり絵を描いたりモニターを見たりといった、僕が自分の机でやることとさほど変わりはない。違っているのは、大勢のスタッフが行き交っていて、いつものように独りではないということくらいだ。なので、外に出かけていってまったく別の作業をやるといった感覚がない。まあ仕事場をちょっとの間移して、そこに通勤し、やっぱりいつもと同じことをしているといった程度の差でしかない。

 ところが、アフレコはマンガを描くのとはまったく違う種類の作業である。それ故に戸惑いもあるが、それ以上に初めての経験ということへの好奇心が僕をワクワクさせてしまうのだ。根っからの新し物好きなのである。更に、僕は有名人を街で見掛けただけでも何となく得をした気になるミーハー体質でもある。更に更に、一般のミーハーと決定的に違って、僕はその現場の全権を握る監督なのである。つまり、僕にはアフレコをやっていただく俳優さんや声優さんを指示通りに動かすことの出来る大いなる権力があるのだ。たぶん。楽しくなかろうはずがない。



 ※福山さんのアニメ監督デビュー話を最初から読みたい方は →こちら 


2007年08月08日掲載

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