* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number


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382 アニメ監督デビュー(28)〜短編オムニバス映画『Genius Party』

「ドアチャイム」の場合、音楽の時と同じように、それぞれのキャラクターにどんな声をイメージしているかをSプロデューサーにまず聞かれたので、たとえば、主人公はどちらかといえばハスキー且つボソボソっとした声で、朗々と喋るようないわゆる美声ではないとか、そのガールフレンドは前にどんどん出てくるタイプで、深刻さのない明るく突き抜けた声などの希望を言う。その希望を元に、まず何人かの候補をSさんがTVドラマなどの資料から見つけ出し、それを僕に提示し、その中に僕の意に沿う声の人がいるかというところから始まる。

 その最初のほうの段階で、声優さんによる声のサンプルに僕が難色を示したことから、主要キャラの候補選びに関してはすぐに俳優さんへとシフトしていった。どうして声優さんの声に難色を示したかというと、声優さんの声は良くも悪くもキャラクターが立ちすぎるのである。それがいわゆるキャラクター系アニメだと見事にハマって気持ち良いのだが、この「ドアチャイム」のような特別個性的なキャラクターを全面に出すアニメではなく、普通すぎるほど普通の日常に生きる、それこそ名前すら意識されることのないどこにでもいそうな高校生を主人公に描くような場合は、それがむしろ邪魔になる。つまり、その道のプロ故にキャラクターを瞬時に立てようとする方向性を強く感じる声優さんの声は合わないと僕は思ったのだ。

 そうした僕の意図がSプロデューサーに伝わると、今度は俳優さんのサンプルが自宅に届けられるようになった。中には今めきめき売り出し中のけっこう有名な女優さんのサンプルも混じっているが、僕には見覚えのない俳優さんのほうが多い。Sさんがどういうきっかけからそうした候補を探し出して来るのか僕にはよくわからないのだが、彼女独特の勘の閃きといったものがあるのだろう、実に適確なところを候補に用意してくれる。とりわけ、絶品のキャスティングと思わず膝を叩いたのは、何度も登場する通行人のオヤジに俳優の小倉久寛さんを提示した時である。



 ※福山さんのアニメ監督デビュー話を最初から読みたい方は →こちら 


2007年08月29日掲載

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