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* 連載フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




388 アニメ監督デビュー(34)〜短編オムニバス映画『Genius Party』

 ミキシング機材や技術的なことへの好奇心から、録音技師さんたちに色々話を聞いているうちに、プロデューサーや作画監督が到着。更に効果音(SE)担当の方そのアシスタントさんとメイン・スタッフが全員揃ったところで、いよいよミックスダウンを合わせた試写が始まった。ちなみに、この日行うのはプリ・ミックス、いわばテストで、翌々日に本チャンであるファイナル・ミックスを行うことになる。


 これまで何度か、簡易的に台詞と音楽だけが入った映像のほうはラッシュ・チェックのたびに見てきたが、効果音の入った映像を見るのはこの日がもちろん初めてである。当然ながら、効果音が入ったことで、繰り返し見てきた映像がもう一つの顔を見せてくる。比喩的に言えば、それまで真空状態だった映像の中に空気が満たされた感じである。その目には見えない空気感が平べったい映像に奥行きを与え、間断なく時間が流れていくことのリアリティを醸し出す。

 まるで映画のようだ!

 冗談のようだが、そう思った。
 効果音がミックスされると、俄然映画らしくなるとは想像していたが、予想以上に映画の雰囲気を醸し出している。逆に言えば、映画と呼ぶには程遠いシロモノが、優れた効果音の力で、やっとなんとか映画のようなものの端くれに中指一本が引っかかったかなというふうにも言える。表現しようとする者には絶えず自信と不安がつきまとう。何はともあれ、そうした揺れ惑うことの緊張から、この一瞬だけは解放された気がした。



 ※福山さんのアニメ監督デビュー話を最初から読みたい方は →こちら 


2007年10月17日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部