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* 連載フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




393 ベースウーマン養成特別講座(3)

 チューブ(真空管式)アンプの音は、どことなく暖かくて懐かしい。

 灯りに喩えると、iPodなどのデジタル系の音がインバーター式の蛍光灯で、真空管のほうは見た目もそうだがローソクや炭火の光に近い。真空管式ラジオを聴く機会の多かったある年代以上の人ならば、ああ、あの感じかと思い出すことが出来るかもしれない。

 たとえば、ギターのブリッジに一番近いほうのピックアップマイクで拾った音はキンキンした鋭角的な音になりがちで、チューブアンプも事実その通りの音が出るのだが、しかし、音に耳障りなトゲがない。鋭い切れの良い音なのだが、それでいて人を包み込むような優しさに満ちている。トランジスター・アンプの音とはひと味もふた味も違うのである。何がそうさせるのかはわからないが、実に不思議だ。もちろん、アンプも繋ぐギターによって全く違う音になってしまうものだが、少なくとも僕のストラトもどきは、そういう音を出してくれる。

 と、いかにもギターアンプにこだわりを持つ人間が書いたような文章になったが、元々はギターアンプの音などどうでも良かった。エレキ・ギターをアンプラグドで弾いても寂しいものがあるので、とりあえず音がどうであれ、増幅さえ出来れば良かった。もっと言えば、エレキ・ギターを弾くこと自体少なかった。単にアンプの電源を入れたり、ヴォリュームやトーンを調整するのが面倒だからだ。いつも弾くのはアンプ無しでも即座に音が出る、近所の中古店で買った安物のガット・ギターと決まっていた。それまでは。



※iPodは、米国および他の国々で登録されたApple Computer, Inc.の商標です。


2008年01月09日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部