* 連載フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number


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395 ベースウーマン養成特別講座(5)−カホンを作る #1

 カホンという楽器がある。

 30cm×30cm×50cmくらいの木箱で、横腹に一カ所だけCDくらいの大きさの丸い穴が開いており、一見するとゴミ箱のようである。いや、一見どころか、じっくり時間を掛けて見回しても、ゴミ箱そのものである。あるいは、椅子か鳥の巣箱か踏み台かと考える人もいるかもしれない。とにかく、ただの四角い箱に過ぎないので、特に日曜大工を趣味としている人でなくとも、ほんの少し器用な人であれば簡単に作れそうな工作物である。

 そんな何の変哲もないただの木箱としか思えないものが、楽器店に行くとけっこうな値段で売られているから驚く。高いものは3〜4万円、安くても1万円を下回ることはない。高いほうのものには、要所に合板ではなく無垢材が使われているようだ。それがこうした価格に反映しているのだろうが、それでもやはりただの木箱である。家具だとすれば高い。つまり、この箱がゴミ箱でも鳥の巣箱でも椅子でも踏み台でもないから高いのである。そうとしか思えない。

 そう、これは楽器なのである。冒頭に書いた通りだ。
 とはいっても、「貧乏人のドラム」というような言われ方もされているようである。20世紀の初めに、ペルーの黒人の間で生まれたそうだが、最初はそこらに転がっている木の箱をボンゴやドラムの代わりに叩くことから始まったのかもしれない。だとすれば、「貧乏人の」という形容詞がピッタリする。だが、その代用品だったかもしれないものが民族楽器として発達し、フラメンコの演奏でも活躍するようになり、最近ではこの日本でもレコーディングに使われるまでになっている。現在の寸法に収まったのは1960年以降らしいが、もはやドラムの代用品ではなく、立派に一家を成す楽器である。

 このカホンが放課後のベース教室にもあれば楽しいかもしれない、と僕は考えた。ドラムセットを買って教室に持ち込むなどということは現実的ではないし、だからといって、スタジオを借りてやるほどのレベルには達していない。というより、そもそもドラマーがいない。そこで、カホンならば運搬が容易だし、ドラムのようにセッティングに手間と時間を要することもない上に、誰でもすぐに叩けると考えたわけだ。

 とはいえ、買うにはやっぱり高過ぎる。
 自分にも簡単に作れそうだと思うから、高く感じるのだろう。
 だったら、作ってみるべしである。高いか安いかは作ってみればわかる。


2008年02月06日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部