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* 連載フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




398 ベースウーマン養成特別講座(8)−楽器の値段 #2

 さて、若いお嬢さんを相手に放課後のベース特訓教室など始めると、今使っている楽器の他にも、別の楽器が欲しくなるものである。自分の腕を考えれば、どの楽器を弾いたところで大して変わり映えするとは思えないのだが、何か出掛ける予定があると服を新調したくなるようなもので、ある種の自己顕示欲が湧いてくるのだろう。

 だが、前回書いたように楽器は高価だ。ギブソンのレス・ポールやら、どう見ても量産品にしか見えないフェンダーUSAのストラトなど、何がどうしてあの値段になるのか僕にはよくわからないが、とにかく高価である。もちろん、僕もオトナだから、無理すれば買って買えない値段ではないが、人前で演奏する機会もなく、ましてプロでもない者が持っていてもしょうがないという気がある。宝の持ち腐れ、とは決して思っていないが、そう思われても仕方がないのはセルマーのアルトだけで十分である。

 しかし、それでも何か別の楽器は欲しい。一度ついた火はそう簡単に消えるものではない。

 そこで、何か良い出物はないかと、近所にある大型中古店に行ってみた。中古店だからといって決して安くはないが、そこには楽器やオーディオ製品が揃っていて、冷やかしがてら立ち寄ることが多い。大抵は何も買わずに終わるが、この日はジャンク品のコーナーにヤマハ製のガット・ギターが置かれていた。ヤマハといえば、赤ちゃんでも知っている日本有数のブランドである。弦は一本も張られていないが、ボディには傷らしい傷もほとんどなく、塗装もいまケースから出してきたばかりのようなツヤがあり新しい。ネックの反りも見られない。そもそもこのギターは使われた形跡が見当たらない。しかし、2千円という値札が付いている。ほかのジャンク・ギターで2千円の値が付いているものといったら、それでもお前はギターと言い張るか? と言いたくなるようなひどいものである。モーリスなどのブランドで、ペグなどが取れて無くなっていたり、ネックの反りがひどくて3〜4千円、ちょっと状態が綺麗だと7〜8千円という売値である。しかし、このジャンク・ギターは綺麗も綺麗、弦が張られていないだけで、どこがジャンクなのかと思うくらい綺麗なのである。いったい何故?

 よく見ると、ブリッジが無いのであった。


2008年03月19日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部