* 連載フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number


写真
---> 拡大表示










400 ベースウーマン養成特別講座(10)−楽器の値段 #4

 ブリッジが剥がれてしまったのなら接着剤でくっつければいい、というのが素人のいかにもイージーな発想で、あまり深くは考えずその通りにやってみた。接着剤はどこにでも売っているあの木工用ボンドだ。もちろん、接着面はサンドペーパーできれいに均した。それくらいの手間は、ずぼらなこの僕でも掛ける。有り合わせのクランプ(物と物とをギュッと締め付けて固定する道具)をそれらしく使って固定し、待つこと一日、しっかりブリッジが接着されていることを確認して、いざギターの弦を張ってみた。が、見る見るうちにブリッジが浮き始め、ボディとの間に大きな隙間が誕生したではないか。

 そういうことか。
 だから2,000円なのかと、その時思った。

 どうやら普通の木工用ボンドではダメなようである。瞬間接着剤ならばと考えてみたが、それは更にイージーな気がしたので、順序が逆だが、そこで初めてインターネットでギターのリペアに関する検索をしてみた。すると、楽器の補修にはタイトボンドというアメリカ製の接着剤が定番であり常識とある。僕が非常勤講師を勤める学校に、18世紀ギターの製造&リペアを趣味とする、その道では世界的にも有名なT先生という方がいらっしゃるが、その先生は接着剤には古式にのっとって膠(にかわ)を使われるようである。が、僕は何の由緒もないそこらのジャンク・ギターに、そんな七面倒なことをするつもりは全くないので、そういう検索結果が出たらと恐れていたが、どうやらタイトボンドという化学系の現代テクノロジー系のもので済みそうなので安堵した。

 早速、タイトボンドタイトボンド…… と念仏を唱えるが如く近所の大型ホームセンターに馳せ参じたが、そういう名の製品は影も形もない。あるのは、いつもの木工用ボンドだけである。しょうがないので、ネット通販で買うことになるが、その数日後、別の大型量販店でも入手することが出来た。特に高価でもなければ、特に珍しいものでもないようである。しかし、その接着剤は噂に違わずブリッジをボディにがっちりくっつけるだけの威力を発揮することになる。趣味にせよ職業的にせよ、楽器のリペアを専門とする人には常識中の常識であるらしいこのタイトボンドという接着剤、なぜ同種の製品がメイド・イン・ジャパンにないのか、それが不思議と言えば不思議である。

 ともあれ、2,100円のジャンク・ギターは楽器として蘇った。音程もしっかり合っている。


2008年04月16日掲載

<--Back     Next-->

週休六日のススメの目次へ--->



Copyright :
マカロニ・アンモナイト編集部