* 連載フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number


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416 ミュージカル『マドモアゼル・モーツァルト』再演(4)

 他のどのプロフェッショナルより名が知れているとはいっても、このミュージカルの作曲が依頼された時点に於いては、後年のあのすさまじいヒットメーカーとしての知名度には遙かに及ばないものであった。実は僕もまったくその名を知らなかったくらいである。当時はまだTMネットワークと称していた。

 作曲家の名前を言うと、当時高校生だった娘はそこそこ知っているらしく、「テクノだよ」と言う。それを聞いて、僕は「えっ!?」と驚き、「ということは、打ち込み系?」と尋ねると、娘は「たぶん」と答えた。それを聞いて、愕然とした記憶がある。

 担当編集者から電話で「マドモアゼル・モーツァルト」のミュージカル化を知らされたとき、僕が真っ先にイメージした音楽は、フルオーケストラによるメロディアスでゴージャスなそれである。予算の都合で、楽団が仮に簡素な編成になったとしても、テクノや打ち込み系は想像だにしないジャンルの音楽だった。いささか旧態依然に過ぎるかもしれないが、それが僕の中にあるミュージカルであり、そうでないミュージカルはミュージカルと呼ぶに値しないと力説するくらい強固なものとしてあったのだ。

 実際聴く彼の音楽はテクノというイメージから想像するようなテクノ・イメージの音楽ではなかったが、8小節ほどの短いメロディを転調しながら繰り返すミニマムなところはその系譜にあり、僕の中にある強固なミュージカル・イメージとは決定的に違っていた。

 ある日、彼の作ったデモテープが届いた。
 最初は抵抗感を消すことが出来ずため息ばかりついていたが、何度も聴くうちに彼の音楽に慣れていった。
 良いメロディも“発見”していった。
 下北沢の本多劇場でゲネプロが行われた。モーツァルト役の土居裕子さんが聞き覚えたそのメロディを良く通る素晴らしい声で歌った。大好きになった。

 何があったにせよ、作品に罪はない。



※編集部より
ミュージカル『マドモアゼル・モーツァルト』の公演日、チケット等については、音楽座ミュージカル/Rカンパニーの公式サイトでご確認ください。

音楽座ミュージカル/Rカンパニーの公式サイトは→ こちら 



2008年12月17日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部