* 連載フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number


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417 造形の授業(1)

 3年ぶりのミュージカル公演ということで、録音遊びの話が中断してしまった。実際の遊びのほうも、なんだかんだと忙しさにかまけて、実はあまり進展していない。つまり、ICレコーダーとオプションの外部マイクを買ったまでは上々だったが、そのあと人様に楽しんでいただけるだけの内容ある録音体験が出来なかったということだ。
 そのかわりと言っては何だが、別の新たな遊びのネタが舞い込んできたので、それについてしばらく書こうかと思う。

 僕が非常勤講師として勤めている専門学校に、造形の授業を持たれていたやはり非常勤講師の方がおられた。ショーウィンドウなどのディスプレーをデザインされてきた方で、業界では実力ある有名な方だったらしい。僕もそういう方とは知らず、何度か講師室でお会いしたことがある。見事な白髪に真っ赤なセーターをオシャレに着こなした、一見して学校職員には見えない、まさしく何かの“専門家”であろうオーラを持った方で、そのせいか若干近寄りがたい雰囲気があり、互いに「ヤツは何者?」といった感じでチラチラ目が合いつつも、話をするに至ることは一度もなかった。

 その方が急病で倒れられた。
 9月からの後期が始まるか始まらないかという頃である。週に二日、マンガコースとキャラクターデザイン・コースのそれぞれ1年生の授業を持たれていたらしい。丸々穴を空けるわけにはいかないということで、急遽、僕にピンチヒッターの役が回ってきた。僕はマンガ・コースのほうの一日を選んだ。そのときは、彼が復帰するまでの数回だろうと考えていたが、どうやら今期の復帰は無理らしいという話になった。更に数日後、彼が亡くなったことを知らされた。聞けば、僕と同じ年の生まれだという。あのきれいな白髪からは想像し難い、意外な若さに驚いた。
 そういうわけで、僕はマンガ・コースの造形の授業を後期いっぱい続けることになった。

 さて、本題である。
 造形の授業では、塑像をやるという。


2009年1月7日掲載

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