* 連載フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number


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422 造形の授業(6)〜フィギア制作奮闘記 #5〜

 さあ、そして、いよいよ彩色である。

 いや、その前にナイフで削ったり、サンドペーパーで磨いたり、顔の微妙な表情を作ったりと、最終的な造作を細かく慎重に整える必要はあるが、心は既に最後の工程である彩色である。手垢などで薄汚れた粘土色した塑像が、彩色することでマイセンの陶磁器のように一挙に華やぐのだ。いや、そうなるかどうかは色を塗ってみなければわからないが、少なくともそうしたハイライトシーンを想像しながら、授業も学生も半ばほったらかしにして(!)、地味な作業を黙々と根気よくひたすら続けてきたことだけは確かである。その楽しみの瞬間がやっとやってきたのだ。

 さあ、塗るぞ、もう後戻りは出来ないぞ!
 いや、出来なくもないが、戻ると面倒臭いことになるので、ここはもう一挙に決めるぞ、とまあ、そんなような何だかユルい決意でもってまずは下地剤のジェッソをまんべんなく塗り始めた。油彩画に使うキャンバスなどは描画面が真っ白だが、あの色の正体がこのジェッソである。その上に塗る絵の具の発色と定着性をよくするためだ。見た目には白い絵の具と何ら変わりないが、絵の具に較べると不透明性が非常に高い。ペンキのように、ひと塗りで何もかも白く塗りつぶしてしまえる感覚がある。それに較べると、描画用の絵の具はだいぶ不透明性が低い。色にもよるが、ひと塗りくらいでは下の色を隠してくれなかったりする。なので、素材である粘土の色を隠し、絵の具本来の色を薄塗りでも発揮出来るように、ジェッソをまず先に塗る。絵の具の節約にもなる。

 全体が石膏像のように純白になったら、よく乾かし、その上からいよいよ彩色をしていくが、絵の具はアクリル・ガッシュを使う。紙や木はもちろん、金属やプラスチックにも塗ることが出来て、乾くとポスターカラーのように艶消しになる画材だ。

 とか何とか、いかにもしたり顔でノウハウもどきを書いているが、実はこうした工作用の素材や画材の一切は僕が決めたことではない。この授業を行う予定だった講師の方によって既に出されていた指示によるものである。なので、僕もその指示に従ってやっているに過ぎず、実際には粘土はスーパー・スカルピーでなく、石粉系のものでもいいだろうし、アクリル系絵の具じゃなくて、プラモデルなどで使うエナメル系塗料でもいいのだろう。前にも書いたように、僕はその突然亡くなった講師の方のピンチヒッターであり、ここで扱った素材や方法がベストかどうかは、他を知らないこともあって、本当のところはよくわからないのである。

 そんな手探り状態の中、とりあえず色を塗ってみた。


2009年3月18日掲載

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