* 連載フォトエッセイ*

下野康史の出物・ハレMONO

  文・写真/下野康史(かばた・やすし) --->Back Number


写真
---> 拡大表示

■写真;下野康史





第27回 『夜更けのブルドック #6』

 明るいところで見たフレンチ・ブルはオスだった。トシはよくわからないが、まだ若そうである。しかしそのわりに、すごく落ち着いている。いきなり連れてこられた部屋でも、こわがるでなし、ジタバタするでなし、実に飄々としている。こういうところが、ブルドッグの特質なのだろうか。臆病なハナが同じ立場だったら、パニックになっているはずだ。どこから歩いて来たのかは知らないが、体も汚れていない。室内で大事に飼われている犬に間違いない。いや、これだけ汚れていないということは、本当にクルマであの空き地まで来て、捨てられた可能性もある、とヨメさんに言ったら、一笑に付された。
 引き綱をイスに結んで居場所をつくってやったら、そこでジッとしている。部屋を出ようとすると、心細げな表情をするが、とくにあとを追うでもなく、ワンと鳴くでもない。まったく手のかからない迷い犬である。水をあげたら、よく飲んだ。


2008年12月17日掲載

<--Back     Next-->

下野康史の出物・ハレMONOの目次へ--->



Copyright :
マカロニ・アンモナイト編集部