* 連載フォトエッセイ*

下野康史の出物・ハレMONO

  文・写真/下野康史(かばた・やすし) --->Back Number


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■写真;下野康史





第27回 『夜更けのブルドック #11』

 早速、連絡した。すぐ電話に出たのは女性である。「たぶんおたくの犬をゆうべからウチで保護しているんですけど......」。そうきりだした途端、相手は電話口で号泣した。不思議だったのは、そのとき近くにいた犬が明らかに気色ばんだように見えたことである。超能力とは言わない。鋭い聴力で、受話器から洩れる声を聞き取ったに違いない。
 住所を聞くと、ウチから500〜600mほどの距離である。ほどなく30代の奥さんが泣きながら現れた。ガレージで対面した犬も、その瞬間、ブヒッ! っと喜びの嗚咽を洩らした。やっぱり心細くて、寂しかったのだろう。でも、1回そうしただけで、それ以上ベタベタしない。それどころじゃないという感じで、下を向いてコンクリの匂いなどを嗅いでいる。あくまでマイペースを貫く犬である。



2009年3月4日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部