* 週刊フォトエッセイ*

フランスにいるといろんなことを考える

  文・写真/河野朝子 --->Back Number


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あまりにもベタな観光写真なので、あまりにもベタな合成を試みる。
※撮影 by FinePixF601(パリも大阪も)









−文句を言わなきゃ始まらない−

 ■1■

「フランス語は文句を言うためにある」とフランス人が言っているのを聞いたことがある。日本のように国民皆物静かで、為政者が税金ピンハネしてようが金融機関がバックレようが何も起こらない国から見れば、外国語なんて全部文句を言うためにあるように聞こえなくもないが、中でもフランス語は文句を語らせたらピカイチの言語らしい。
 確かにフランスには日本人から見ると「そんなことを言い合っていてよく人間関係がキープできるなぁ」と思えるような『きついひと言』が溢れている。イギリスみたいにグサグサ突き刺さる「不和を以て尊しと為す*」アイロニーでスノッブな人間関係まで行ってはいないのだけれど、日本人が思うところの『いい人』である必要が全くなくて、逆に気の利いた黒い冗談のひとつも言えないと相手にされない彼の国では、我々の耳には刺激強すぎの『主張』が日常に染みついているのだ。と友人に言ったら「じゃ、アンタに合ってるじゃん。住めば?」と言われてしまった。
 そこまで行かなくても日本で『言いまくってる人達』に遭遇できるのは私の知る限り大阪くらいしかない。私は電車に乗っただけで集団ミヤコ蝶々みたいなオバチャン達の鋭い会話が聞ける大阪が好きだし、人間ふたり寄ればボケとツッコミみたいなコミュニケーションも性に合っている。いっそ住んでしまいたいくらいなのだが、だったらパリあたりで切磋琢磨した方が早いのかもしれない(何が)。

*注)不和を以て尊しと為す
 昔からイギリスのロックバンドのいつもの内紛を眺めていて「なんでこの人達こんなに仲悪いんだろう」と思っていたのだが、彼らにとって人はその程度の仲で当たり前、嫌みに悪口なんでもござれってのがイギリス流のようである。あの人達に言わせれば我々のように言いたいことも言わずベタベタ馴れ合ってる「以和為尊」「仲良きことは美しき哉」の方がよっぽどオカシイらしいのだ。日本人やアメリカ人のような「人がいい」国民にはちょっと理解できませーん。


2003年04月02日掲載

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