* 週刊フォトエッセイ*

エジプトにいるといろんなことを考える

  文・写真/河野朝子 --->Back Number


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スルタンの屋敷(アンダースン博物館)の屋上で
※撮影 by FinePixF601



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ミントティーのセット
※撮影 by FinePixF601



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テレビでサッカーを観戦中
※撮影 by FinePixF601

 −公共事業は観光の華−

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 イスラムの男といえば、世の男どもが羨む一夫多妻制ってのがある。合法的に4人までなら妻が複数いてもいいというこの制度、妄想して鼻の下を伸ばすのは簡単だが、実際には男の甲斐性が試されてる制度でもある。
 まずカネがない男はどんなにモテモテなヤツでも女房4人、なんてことはできない。住宅ローンと子供の教育費でカミさんも仕事持ってないと家計が持ちません、てな人間にはできないことになっている。女にマメなだけが取り柄で複数人の女に養われてるヒモみたいな生き方も選択できないのだ。
 一夫多妻制がなぜ生まれたというと、それは単なる男のスケベ心から、ではなく戦争などによって女の人数が男より圧倒的に多くなってしまったことに対する救済策だ、と考えるのが妥当であろう。女を路頭に迷わせておくくらいなら種の保存に努めましょう、ということだと思う。
 ついでに一夫多妻制ってのはハーレムとは意味が違う。ハーレムはスルタンとか豪商とかが妻を始めとした女を住まわせておく施設のことだが、一夫多妻制は全員が妻である。妻全員ひっくるめてひとつの家庭なのだ。すなわち妻以外の女と関係を持ったらそれはやっぱり『浮気』なワケで、浮気がバレて女4人に激しくなじられることを考えたら足がすくむ。
 また、イスラムの一夫多妻制では「等しく全ての妻たちを愛する」ことが求められてるので、ラムセス二世みたいに最愛の女ばっかりえこひいき、なんてことはしちゃならず、また映画『紅夢*』みたいに妻たちが丁々発止の戦いを繰り広げたりしたらそれはそれで男の沽券とか甲斐性とかがズタズタになってしまうものなのだ。そこをなんとか皆さんに仲良くやっていただこうと思ったらどれほど神経使うかは想像に難くない。
 エジプトではないが、ギニア人のオスマン・サンコンさんによると彼のお父さんには何人か妻がいて、子供は産んだ母親が育てず他の妻が育てるなどして女たちは和気藹々だったらしい。「でもお父さん早死にしました」とは本人弁のオチである。
 一夫一妻の男達がラク(?)してるのがリアルな情報として入ってくるようになってきて、エジプトあたりでも男の見栄のありようが変化してきている。元はといえばナイル川と生きてきた農耕民族、アラビア語の挨拶『サラーム(平和)』が似合う人たちである。


*注:紅夢  原題『大紅灯篭高高掛』。1991年。香港・中国制作。監督:張芸謀(チャン・イーモウ)。主演:鞏俐(コン・リー)。


2004年06月16日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部