* 週刊フォトエッセイ*

脊山麻理子の天然寫眞的日乗 BE☆NATURAL

  脊山麻理子 --->Back Number


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(C) keita NAKAYAMA








「市井のALCHEMIST #3」(Jun. 2006 #03)

 写真制作において欠かせない作業のひとつに、「トリミング」というのがある。ペットショップで犬のヘアスタイルを整えるひとをトリマーと呼ぶのと語原は(たぶん)いっしょで、写真の無駄な部分を刈り取ることである。
 これをやりはじめると、ほんのわずかな傾きとか、端っこに写った無意味な要素とかがやたら気になる。ちょっといじっただけで印象が変わるのだから、写真のバランスというのはけっこう脆いものなのだ。
 だが脊山麻理子の写真は、そういう脆さとはあまり縁がない。ちょっと傾いていたり、余分なものが写っていることが偶にあるけれど、それをいじったところで印象はちっとも変わらない。これはどういうことなのか。
 思うに、彼女が撮る絵はスチル(静止画)でありながら、その実はムービー(動画)に近い。それはブレとかボケとかの効果を駆使する技巧的な写真ではなく、撮り手の視線が「ただあるがままにそこに在る」のである。

 絵画のいちジャンルである静物画は、英語でスチルライフStill Life Pictureという。これは写真の世界でも通用する言葉だけど、僕は脊山麻理子の写真をスチルライヴStill Live Photographyと呼びたい。
 撮り手の視線に生命を感じる写真というのは、そうあるもんじゃない。

  (text:k. nakayama)

※今月は都合により脊山麻理子さんの写真とエッセイは休載させていただきます。


2006年06月21日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部