* 週刊フォトエッセイ*

Classical Photo-gear Explorers
東京レトロフォーカス


  文/中山慶太 --->Back Number  写真/脊山麻理子


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スイス:バーゼル市内朝9:00

赤ちゃんを見ているママの表情って世界一素敵! 周りの世界をぶっ飛ばして幸せ度数がこの親子の周りだけ200パーセントに上昇していた! 将来おかしくなってしまうぐらい大好きな人と結婚してかわいくて思わずたべてしまいたくなるようなかわいい赤ちゃんを育てている私がいますように!
(文・脊山麻理子)



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フランス・マルセイユ ユニテダビタシオン by ル・コルビジェ

“Bonjour!”“Ca va?”

おばあさんも犬をつれた奥さんも子供もおしゃれなお姉さんもかっこいいお兄さんもみんな乗ってくると自然に挨拶を交わすの! この日私はみんなとはぐれちゃって何度もエレベータに乗って何度もこのマンションで暮らす人たちと挨拶を交わしたから映画の主人公になった気分だった。でも映画は永遠には続かないってことも気が付いたよ。
(文・脊山麻理子)



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フランス・マルセイユ ユニテダビタシオン by ル・コルビジェ

毎日永遠に続くと思う日常も明日にはもう続いていないかもしれないってことを思い出すと、見慣れた景色を見ている瞬間や友達と笑っている瞬間やお散歩にでる瞬間でさえ急に胸が痛くなって幸せな瞬間なのに悲しいっていう矛盾したものがのどのあたりいっぱいに広がる。で、そういう瞬間はすべてが愛しく感じてならなくなる。(普段はすごい勢いで毎日が過ぎていって忘れている感覚の一つ)きっとこのわんちゃんも私と同じ感情がこみ上げるときがあるんだと思う。

この写真のわんちゃんと女の人の後姿を撮っている私はもう過去の私なんだなって思いかなしくなった。
(文・脊山麻理子)

東京レトロフォーカス Special Edition
『 50ミリの才能 #2』


 このところ標準レンズを使う機会が多い。
 何故かというと、それ以外にレンズを選べないカメラが僕の身のまわりで増殖し続けているからだ。
 そういうカメラのファインダーを覗いて再認識するのは、標準レンズの画角がいかに難しいか、ということなのだった。
 35mmフィルムを使うライカ判(24×36mm)カメラの標準レンズというと、焦点距離50mm前後で対角線画角はおよそ46度。これは人間の視覚にほぼ忠実という説と、いや対角線画角の理論値では43mmだとか、パース感はもうちょっと長めのレンズだという説もあって、実のところどうなのかはよく分からなかったりする。
 ある高名な写真家の意見で、「高層建築が多い現代では50mmは長い。35ミリを標準として良いのではないか」というものがあるけれど、僕にとっての標準レンズは「安い・明るい・収差が少ない」の三拍子が揃っていることに価値があるので、ちょっとこの高説には賛同しかねている。
 で、標準の画角の話だった。この画角がどうして難しいかというと、それは「人間の視覚にほぼ忠実なので、ゴマカシがきかない」ところだと思う。広角でも望遠でも、人間の視覚から離れるほどドラマチックな絵づくりができる。特に超広角の画角だと、アタリマエの風景がいきなり非日常に変わってしまったりするから、ビギナーが撮った写真でも絵になりやすい。ただし強烈なパースを意識して構図を決めないと無様な写真のオンパレードになるので、そこは経験が必要かもしれない。
 まあどんなレンズにもそれなりの難しさはあるのだけど、標準が特に手強く感じるのは「撮影者の感性がいちばん素直に現れてしまう」からだと思う。

 さて。脊山麻理子さんの作品集、第二回目は彼女の自薦による人物写真である。
 縦と横をきちんと撮り分けているところにも感心するけど(ビギナーは横位置オンリーになりがち)、もっと感心するのは絶妙のシャッターチャンスにきちんと反応していること。これが出来そうで出来ないのは、人間を撮るときに少しでも逡巡があるとチャンスを逃してしまうからだ。しかもカメラは往年のレンジファインダー機。こういう機種だとつい絞り込んで被写界深度に頼ったスナップになるところが、ちゃんと絞り開放付近でピントが合って、構図の完成度も高い(作例はすべてノートリです)。
 こうして彼女の才能を再確認したうえで、僕にはちょっぴり不安なことがあるのだけど、その話はまた次回に譲って、ここは素直に“Good job, Mariko!! ”である。こういう撮り手に恵まれれば、レチナもさぞかし幸せだろう。ねえ。

*脊山麻理子さん撮影の写真を特集する『50ミリの才能』次回は2003年1月末に掲載します。次号より『デザインの時代:エキザクタ一眼レフ編』がスタート、ご期待ください。


2002年12月25日掲載

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