* 週刊フォトエッセイ*

Classical Photo-gear Explorers
東京レトロフォーカス


  文・写真/中山慶太 --->Back Number


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『2002年6月、エスナ』
ノクチの開放は口径蝕の嵐。レンジファインダー機に大口径レンズが似合わない理由はたくさんあって、どれも筋が通っている。それでも旅行に出る時にカメラバッグを前にして悩む。確かに明るいレンズがあれば夜の散策でシャッターを押すチャンスは増えるけど、デカイし重いしなあ。
Leica M3 + Noktilux 50mmF1.0 FUJIFILM NEW PRO400 (PN400N) Exposure Data:1/30sec. F=1.2



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『2002年6月、カイロ#1』
いっぽうレンジファインダー機に小口径レンズが似合う理由もたくさんあって、特に被写界深度を利用した街頭スナップはお手の物。だからといっていつも絞って撮るのは止めよう。広角域でも対称形レンズ構成のおかげで、ボケはとても素直なのだ。
Leica M3 + Elmarit 28mmF2.8 FUJICHROME ASTIA (RAP) Exposure Data:1/125sec. F=2.8



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『クラシックカメラギャラリー#3』
旅のお供にはシンプルなカメラが似合う。ただし古典機から機能を削ぎ落としていくと、実用最低限のレベルを超えてしまうことが多い。写真は旧西独・AkA社の「アカレッテ」。ビハインド方式のレンズシャッターでレンズ交換可能、そのレンズも名品シュナイダーを用意していながら距離合わせは目測(標準と望遠、二焦点分のファインダーを載せている)という変わり種。
Nikon FE2 + Micro-Nikkor105mmF2.8 FUJICHROME ASTIA (RAP) Exposure Data:2sec. F=11

 古典カメラで道草 #3

 旅のカメラ選びは愉しい。いえ、旅先で買うカメラじゃなくて、持っていくカメラのことです。
 いぜんは旅行にAF一眼レフを持っていったけど、さいきんは旧いRF(レンジファインダー)機を連れて歩くようになった。そろそろ歳かなあ。
 べつだん一眼レフの重さが苦になってきたわけではない。ライカやキエフ(最近のお気に入り)の重量は、最新のAF一眼レフと大差ないのだ。そうではなくて、一眼レフ特有の存在感が旅の時間のなかで妙に疎ましく感じられるようになってしまった。旅先で他人が使っているのをみると、あんな大仰なカメラを首から下げていたのかと改めて思う。
 RFの美点のひとつに、携行性がある。ボディは一眼レフと大差ないものの、ミラーボックスも含めたレンズのでっぱりが少ない。レンズは沈胴できる物品が多いのも嬉しい。ライカのエルマーもそうだし、先週のギャラリーに掲載したオペマも沈胴レンズが標準で、ウエストポーチにもらくらく収納できてしまう。コンパクトなレンズは暗い(=F値が大きい)けど、RF機ならファインダーの見えは変わらないし、さいきんは高感度フィルムの性能が上がったからフツーに撮れる。
 一眼レフだとなかなかこうはいかないから、けっきょくいつも首から下げることになる。これが公共の空間、とくに地下鉄のなかなどではひどく居心地が悪い。泥棒以外は誰も見てやしないけど。

 泥棒といえば、僕は旅先でいちども盗難にあったことがないのだけど、知人には仕事用のカメラを盗まれた者もいる。日本人は高価なカメラを持っているから狙われやすいのだ。これが昔のカメラ、特にRF機なら被害に遭う確率もぐっと低くなるはずだ(カメラ趣味がないひとはRF機を一眼レフより低く見るのが普通)。相手もプロとはいえ、まさかクラシックカメラの相場には精通していないはずだから、よほどレアな物品でも「たんなるボロカメラ」としか思わないだろう。
 万一盗難に遭ったとして、買い換えがきかない古典機には惜しい物品もあるけど、これは旅先でフリマにでも出したつもりで諦めよう。たぶん泥棒もリセールに困って、家族や友人に与えてしまうはずだ。誰でも使える旧いカメラなら、そうやって再利用される可能性も高い。これがデジカメなんかだとブラックマーケットを流れている間に陳腐化してしまうかもしれない。
 旅先でカメラがなくなっても、どこかの街で中古屋を探せばことは済む。普段から旧いカメラに慣れていれば店頭で時間を無駄にすることもない。日本の中古屋は美品ばかり置いてあるけど、よその国ではそうはいかないから、カメラ選びには普段の修練がモノをいう。
 AF一眼レフユーザーのあなた、悪いことは言わない。旅に出るなら旧いRF機をお供にしなさい。身軽だし、電池はいらないし、旅行先でグレードアップするのも夢じゃありません。

※レギュラーの脊山麻理子さんは大学の冬季試験でお休み、来月からパワーアップして再登場します。乞うご期待!


2003年03月19日掲載

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