* 週刊フォトエッセイ*

Classical Photo-gear Explorers 東京レトロフォーカス

  文/中山慶太 --->Back Number  写真/脊山麻理子


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青い輪タクと漕ぎ手
見てこの輪タク! かわいい! 中国って派手な色好きだけどなんでかわかったの、だってグレーイッシュの町に原色はよく映えるから☆暗雲立ち込める空の下、ブルーの輪タクと不穏な顔したおじいちゃんとの対比が中国的ラブリー☆ I love your sense, baby!
(by maRiko / Leica M3 + Elmarit28mm)



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揚げ物おばちゃん
「なーに見てんのよ! あんた」といわれている気分である。目に気迫がある。無性に謝りたくなる。勝負する前から負けてしまいそうである。でもなぜかおばちゃんの揚げている食べ物が食べたい。生の視線は口ほどに・・・
(by maRiko / Leica M3 + Elmarit28mm)



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自転車の後姿たち
漫画「らんま1/2」を実写で映画にするなら確実に中国。おじちゃんの自転車の後ろにおばちゃんが乗っている。本当に中国は自転車の国だった!(なんだか中国の人に怒られそう、この間から「中国は○○だった」発言ばかりしていて…)高速道路の下の道路も路地もどこもかしこも自転車自転車自転車自転車。
(by maRiko / Leica M3 + Elmarit28mm)

東京レトロフォーカス Special Edition
『視線のラティチュード #3』


 インドに駐在している友人からメールが来た。
 曰く。「お前さんの書く記事は旧いカメラの礼賛ばかりだ。骨董趣味も良いけど、最新の機種を褒めなくてどうする」なるほど。
 某バイクメーカーに勤務する彼は僕と違ってモノを集める趣味がない、いたって健全な人間である。いやまてよ、旧いギターはたくさん持っていたっけ。
 彼とバンドを組んでいたのはもう二十数年前。その頃にヴィンテージギターといえば、おもに60年代製造のものを指していたと思う。その時間差を物差しにすれば、僕らが新品で買ったギターも今では立派なヴィンテージものだ。光陰矢のごとしというか、青年老いやすく……というべきか。何のハナシだったっけ?
 そうそう、カメラの話だった。僕だってただ旧い機材を使えば良い写真が撮れるなんて、1ミリも思っちゃいない。年代物のレンズは描写にクセがあるし、コントラストもシャープネスも現代のものと比べればまるっきり不足している。ボディだっていつ壊れるかわからないものが多い。ギターは年を経た方が音が良くなるという説があるけど、カメラは寝かして描写が良くなる筈がない(ただし光学ガラスはあるていど寝かすと性質が安定するらしい)。
 だから、旧いカメラを使うのは趣味のひとつの在り方にすぎない。ノスタルジックな風景を見つけたら、その印象に相応しい年代物のカメラで写真を撮る。そうして上がった写真で、ちょっとしたタイムスリップ感覚を味わう。これがいちばん真っ当な? 古典カメラの愉しみ方だろう。真新しい建築や最新のファッションにこれを応用すると、たんにピントとコントラストの悪い寝ぼけた写真になってしまう。それも面白いけどね。

 ノスタルジーは、脳の処理回路が最新の情報と過去の書き込みを比較対照して、おおざっぱな特長が合致したときに得られる感情だ。だから脳のストレージに情報をため込んでいるぶん、年長者には豊かな写真の愉しみがある。まあこれも視線のラティチュードみたいなもんだな、などと考えながら脊山麻理子さん撮影の写真を並べてみたら、そこにはちゃんと昔の空気が写っていた。
 彼女はこの風景に懐かしさを感じたのだろうか?
 そういえば最近のロックバンドに、やたらに懐かしい音を出す奴らがいる。使っている楽器を見たら、わりと新しめのギターだった。
 機材が旧いとか新しいとか、それは表現者にはたいした意味を持たないのかもしれない。

脊山麻理子さん撮影の作品特集、次回は8月第1週に「バンコク編」を掲載します。


2003年07月09日掲載

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