* 週刊フォトエッセイ*

Classical Photo-gear Explorers 東京レトロフォーカス

  文・写真/中山慶太 --->Back Number


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今月は麻理子ちゃんのお父さん(医学博士だけど凄く気さくで素敵な方です)が勤務していた大学のキャンパスにお邪魔して撮影。彼女は黙っていてもちゃんとシャッターチャンスをつくってくれる。そのチャンスに素早く反応できる自動露出機構は、特にリバーサルを使った撮影では便利には違いない。ただし外部測光のクセは掴んでおかないと痛い目に遭うことも。
Arsenal Kiev-10 + Mir-1 37mmF2.8 FUJICHROME PROVIA100F (RDPIII) Exposure Data:1/30sec. AE



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シャッタースピード優先のAE機構を使うのは久し振りなので、特性を活かす方法をアタマで考えてなるべく低速で切ってみた。いきなりAT車に乗せられたマニュアルドライバーの気分もかくや。
Arsenal Kiev-10 + Mir-1 37mmF2.8 FUJICHROME PROVIA100F (RDPIII) Exposure Data:1/30sec. AE



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●今週のお題:
『黄金期のソ連カメラ(1)』
薄幸の一眼レフ、スタルト。東独の「エキザクタ」や「プラクチナ」に触発された機構を持ち、 旧ソ連で初めてゼロから開発されたSLRといえる。製造はモスクワ近郊のKMZ工場。交換式のファインダーなど意欲的な機構を盛り込んだカメラだったが、何故かシステム化の計画は途中で放棄され短命に終わった。専用交換レンズは写真下の「ヘリオス44」のみ、上の広角レンズ「ミール1」は珍品のスタルトマウントで、おそらく試作品か改造品だろう。マウントはレンズをボディ側のリングで締め付けるスピゴット形式。
Nikon FE2 + Micro-Nikkor105mmF2.8 FUJICHROME PROVIA100F (RDPIII) Exposure Data:2sec. F=16

 恐竜の時代 #1

 およそこの道の愛好者たるもの、ある種の呪縛から逃れられない。“この道”ってどの道だって? もちろん写真機道である(写真道とは似て非なるモノ)。じゃあ呪縛は何か。それには幾つかの種類がある。
 カメラフリークでいちばん多いのが、機能フェチの人たちだろう。カタログを飾る新機能は多いほどエライ。AF測距点の数などは代表的なものだ。それが実際の撮影に役立たなくても、ライバル機に勝っただけで満足する。キャリアの長い愛好家には疎まれるスペックマニアだが、べつだん悪いことじゃない。使われない機能はけっきょく淘汰されるし、カメラはそうやって無駄な機能を淘汰しながら進歩してきたのだから。
 機能とは別に、デザインフェチという人種がいる。最近ではカメラの外装は樹脂モールドが主体だし、金属素材を使った造形技術もずいぶんと自由度が増したから、四角い暗箱もさまざまな意匠を纏(まと)えるようになった。工業デザイナーには腕の振るい甲斐のある時代ということだろう。とはいえひところ流行ったエルゴデザインもやや影を潜め、トレンドをつくるようなデザインが現れないのはちょっと寂しい。
 僕などもデザインが気に入ったカメラしか使わないフェチ人間だけど、ここのところ「これは」という物品になかなか出会えない(ライカR8/R9は稀にみる傑作だと思う、と言うと怪訝な顔をするひとも多い)。現代の多機能カメラにまったく新しい意匠を与えるのは、たぶん相当に難しいのだろう。

 ところでカメラの歴史を振り返ってみると、デザインは機能と同等か、それ以上に重視されてきたことがわかる。もともとカメラは二十世紀の半ば過ぎまで富裕層の玩具だったから、商品価値を高めるための装飾性に意が注がれたことは理解できる。ただしその装飾が機能と結びつくことは稀で、操作ノブやレバーが妙な形で変な場所に付いている機種も少なくない。速写性とか連写機能が重視されなかった時代には、人間工学などさほど意識されなかったということだろう。
 これがクルマのように、内部機構とボディシェルの間に余白がたっぷりあるような(近ごろはそうでもないようだが)工業製品なら、デザイナーもずっと楽に仕事ができたはずだ。ところが昔のカメラでそんなことをやってるとボディがどんどん肥大化する。特に35mmロールフィルムを用いるカメラでは小型化が重視されたから、デザイナーが先にカタチを決めることなど無理な相談だったろう。
 それでも技術が成熟していくと、やがて不可能は可能になる。操作部材の配置や意匠が機能に直結し、ひとつの塊として磨き上げられたデザイン物品が登場する。そういう近代的な工業デザインの結晶としてのカメラが、おそらく世界ではじめて誕生したのは1960年代半ばのこと、出生地はソ連邦の西の端だった。

●モデル:脊山麻理子


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2003年08月13日掲載

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