* 週刊フォトエッセイ*

Classical Photo-gear Explorers 東京レトロフォーカス

  文/中山慶太 --->Back Number  写真/脊山麻理子


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ココナッツミルクのような練乳のようなものをスティッキーライスとマンゴーにかけて食べるとき、これぞ至福のとき☆
アユタヤの寺院で尼さんがマンゴーを売っている不思議な光景にでくわした!
ブッタは同じ誕生日でもある私と同じできっとマンゴーが好きだったのね、だから尼さんはブッタのためにマンゴーを売っているのね、と解けているのか解けていないのかへんてこりんな理屈で納得しながら写真を撮った後マンゴーをこのあと食べていました☆
(by maRiko / RetinaIIIc)



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廃墟となった遺跡を上品に控えめにみずみずしい白い花が咲いた木が植えられていました。
せつないほど美しいこの花を見ていると、ガイドさんがこの花はタイで「哀しみの花」といわれ王家の墓や寺院にしか植えられていないのだと、私に話し掛けてきました。
どうして哀しみの花なのかってきくと、悲しいエピソードを教えてくれました。
昔とっても美しかった妻が若くして死んでしまったことを嘆き悲しんだ王様が美しく白い花に奥さんの名前をつけたという。
ラントムというこの白い花を見ているだけで、どれだけ美しく可憐で上品な女性だったか、どれだけ王様が悲しんだか伝わってきました。
美しいものは儚く、永遠に人の心をつかんで離さない。
花は散るけどまた咲くから、王様は一生忘れられなくなってしまっただろうな・・・
(by maRiko / RetinaIIIc)



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「王様と私」の映画に出てきそうな男の子、うしろの裸足の足たちが私にタイに行ってきたのだなーって私に思い出させてくれる写真!
いまにも飛び出してきそうなこの男の子、とっても好きな写真です。
(by maRiko / RetinaIIIc)

東京レトロフォーカス Special Edition
『スナップの達人 #2』


 趣味にはいろんなジャンルがある。
 ひとつのジャンルのなかにはカテゴリーが細かく仕切られていて、一般にその趣味を支える人口に比例して仕切は増えていく傾向にある。たとえば釣りをはじめるひとは海と河というふたつのステージを先ず選択しなければ次に進めない。べつだん両方選んでも良いのだけど、まあたいがいはどっちかに落ち着くものらしい。
 性格の違うカテゴリーを節操なく選んでいくと、周囲から奇異の目でみられることもある。週末はルアーかトローリングどっちにしようか、などと迷うひとは釣りキチ三平だけである。
 だからカテゴリーが多いのは困ったものかというとそんなことはない。音楽CDを買いに行って、売り場の棚がクラシックとロックと歌謡とラテンだけじゃあ、なんとも味気ないでしょ。やっぱりロックの中にはメタルがあってプログレがあり、さらにオルタナが……いや、これも関係ない話で失礼。
 本題の写真術に話を戻すと、カメラを持ったひとの多くはカテゴリーを意識せずに撮っているはずで、それをいちいち分類するのもどうか、という意見もあるだろう。でも趣味というのは対象を絞って客体化する意識が大切なので、カテゴライズの意味は大いにある(ような気がする)。
 いや、わざわざ悩まなくても自分が撮りたい写真というのは自然に決まるものなのだ。とにかく撮りたいものが撮れるまでおなじ場所でじっくり待つ、そういう石の忍耐を持つひとは風景写真か鉄道写真向きである。逆にひとところに1分といられないひとは無理して丹頂鶴など追わず、街なかでスナップを撮るべきである。
 言われなくてもそうしてるだろうな。

 で、スナップの話だった。前回も書いたように、この分野は多くの達人を輩出している。何故かその達人はフランス人が多くて、前世紀の半ばまででもユジェーヌ・アジェやアンリ・カルティエ=ブレッソンという偉大な写真家を輩出している。とはいっても両者には歴然とした違いがあって、アジェはパリの雑踏を撮っても限りなくスチルライフ的で、ブレッソンはもっと動的な表現が多い。
 これは思うに、アジェの時代は大判カメラが主流で、ブレッソンはライカ登場以後の写真家だからなのだ。畢竟、後者の視線はより軽やかで作品にもブレやボケを活かしたものが多くなる。実はここにスナップがキャンディード(お手軽)フォトと呼ばれる秘密がある。
 つまりスナップの基本は1にフットワーク、2に注意力、3に判断力なのだ。目の前のものを観て「おやっ」の「お」と思った瞬間にすぐ撮る。レンズの画角と被写界深度を使いこなすとか、そういう技術論は些末な問題だ。カメラの操作などでもたもたしていると瞬間はすぐに過ぎてしまう。その意味で、スナップは風景の対極にあるといえる。

 そんなことを考えながら脊山麻理子さんの写真を眺めていると、彼女が観た暑い国の風景が、ふと動き出すような気がした。

脊山麻理子さん撮影の作品特集、次回は10月第1週に「バンコク編3」を掲載します。


2003年09月03日掲載

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