* 週刊フォトエッセイ*

Classical Photo-gear Explorers 東京レトロフォーカス

  文・写真/中山慶太 --->Back Number


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いつもの駅で。こういう強烈な逆光でもフレアがほとんど発生しないのは蛇腹式カメラの美点。
Retina Ib + Schneider Xenar 50mmF2.8 FUJICOLOR NewPro400 Exposure Data:1/125sec. F8



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いつも電車で渡る鉄橋から。こういう条件ではどんなカメラでも低コントラストの「眠い」写真になるけど、良いレンズはそのなかに豊富なトーンを詰め込んでくれる。
Retina Ib + Schneider Xenar 50mmF2.8 FUJICOLOR NewPro400 Exposure Data:1/60sec. F4



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上の二点の写真を撮ったカメラ、レチナIb・タイプ019/0。レチナは膨大な数の眷族を持つことで知られるが、これはおそらく最もマイナーな部類のモデルだ。1957年から翌年にかけて生産され(総数は二千台程度という)、すぐに独立したブライトフレーム採光窓を持つタイプ019に切り替わった。機能的にはこのアルバダファインダーを持つタイプで充分だけど、たぶん商品力がないと判断されたのだろう。シンプルな目測機ゆえに撮影には慣れが必要、しかも距離目盛りはフィート表示という二重苦。
Nikon FE2 + Micro-Nikkor105mmF2.8 FUJICHROME PROVIA100F (RDPIII) Exposure Data:2sec. F=16

東京レトロフォーカス Special Edition
『古典カメラの買い物術 #2』


 さて、旧いカメラをどこで探すか。これにはいろいろな手段があるけれど、僕が実際にやっている(つまり誰でもできる)やり方を書いてみよう。
 先ずもっともオーソドックスなのが、クラシックカメラを扱うお店に出向いて探す方法だ。これはなにより実機に触れて確認できる利点がある。新旧を問わず、カメラには写真で観ただけでは伝わらない雰囲気があるので、実際に手に持って操作を試せるメリットは大きい。旧いカメラは手に持った感触も大切だからなおさらだ。操作や描写などが不明な場合はお店のひとにアドバイスをもらえるし、保証の面でも安心だ(委託品はその限りでないことが多い)。また海外製品を扱うショップの多くは、仕入れを海外のバイヤーに頼んだり、スタッフが海外のマーケットに直接出向いているから、顔なじみになるとレアなものでも探してもらえたりする。
 この方法は基本だけど、もちろんデメリットもあって、保証が効くお店ではちゃんと整備したカメラを売っているから値段が高めである。またいろんな機種を目にすると目移りがして、本当に自分が欲しい機種がなんだかわからなくなる。それとこの種の店は都市部に集中しているので、地方在住の方は難しい面もあると思う。
 次に考えられるのが通販だ。いぜんは雑誌広告がほとんど唯一の頼りで、広告を観たときにはもうその品は誰かの手にわたった後、ということが多かったけど、今はインターネットでほぼリアルタイムの在庫を知ることができる。その気になれば、海の向こうのショップの棚の隅の在庫だって探せるのだ。購入前に実機を確認できないという問題はあるものの、万一の場合の保証や返品などが効く場合が多いから安心度は高い。

 ここまでの手段で、まず大抵のカメラは手に入る。それでも見つからない、あるいは値段が折り合わない場合は、ネットオークションに打って出ることになる。経験された方はご存知だろうけど、この方法はリスクが大きい。基本は個人売買(ショップが出品している場合もある)なので保証は期待できないし、相手に悪意はなくても知識が足りないためにトラブルになることも多い。逆にとても良心的な売り手と出会えることもあって、そういう相手とはカメラを通じて友人関係ができたりする。
 また日本と海外ではセコハン物件に対する概念にかなり、というか月とスッポンほどの落差があるから注意が必要だ。「外観美品・完動品」みたいな触れ込みを信じて落札して、届いた荷を解いて唖然とした経験を持つのは僕だけではないだろう。この傾向は旧共産圏の売り手に顕著である。ただし日本は世界中の程度の良いカメラを血眼で集めてきた国なので、僕らの方が非常識なのかもしれない。
 とはいえ、ネットオークションのいちばんの問題点は「つい熱くなって予定外のお金をつぎ込むこと」である。これはパチンコと一緒で、人間の根元的な部分に直結しているので、歯止めをかける自信を持てない物件への入札は控えた方が無難だろう(かくいう僕自身、こんな忠告を聞く耳があれば苦労はしないのだが)。

 さてさて、探し求めたカメラがショップでもオークションでも見つからない。そういう場合は「とりあえず忘れたこと」にする。旧いカメラというのは妙なモノで、寄せては引く波のようなところがある。市場に出現する時にはそれこそ近所のカメラ屋の棚にも並び、消える時には地の果ての倉庫の床を剥がしても見つからないものだ。
 で、しばらく忘れていると何が起きるか。いや実は、つい先日も……。


2004年01月14日掲載

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