* 週刊フォトエッセイ*

Classical Photo-gear Explorers 東京レトロフォーカス

  文・写真/中山慶太 --->Back Number


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ボート小屋にて。軟らかい光を捉えたらこのレンズはやはり天下一品。
Hasselblad 500C/M + Carl Zeiss Planar-C80mmF2.8 FUJIFILM Neopan 400 PRESTO Exposure Data:1/60sec. F8



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風が吹き抜ける浜辺で海を観る女。久し振りに使ったオリオン15は逆光で派手なゴーストが出現。このような条件では色乗りも絶妙に渋い。
Leica M3 + Orion-15 28mmF6 FUJICOLOR New Pro400 Exposure Data:1/125sec. F11



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次回予告:10月第2週より「目測カメラの憂鬱」がスタートします。ツァイス、フォクトレンダーなどの名機をはじめ、歴史に埋もれたカメラも多数登場。読めばあなたもピント合わせの煩悩から開放される? ご期待ください。

FUJIFILM FinePix F810で撮影

スクエアフォーマットの誘惑 #15

 さて、足かけ半年にわたって連載したスクエアフォーマット編もこれで一区切りである。もともとこの連載はハッセルブラッドを採り上げるつもりで準備していたこともあり、いささかこのカメラに偏重し過ぎた結果となった。正方形画面のカメラはここに紹介した他にもローライやスーパーイコンタ、そして我が日本が世界に誇るゼンザブロニカやマミヤなど名機がたくさんある。今回紹介したカメラたちの作例と併せ、いずれ機会があれば採り上げてみたい。
 ライカなど著名なカメラの例に漏れず、ハッセルにもその成り立ちや派生モデルを詳細に記した資料は数多く存在する。この連載でもそうした情報を参考にさせていただいた。ただしその種の情報はどうしても自分自身で「裏を取れない」恨みがあり、書き手としても消化不良の感は否めない。そこで連載後半では「ハッセルは如何にしてコマーシャル分野の王者となったか」、その理由を勝手に考えて並べてみた。誤記や勘違いもあろうかと思うので、ここは識者のご指摘を待ちたい。
 ハッセルの成功の秘密は、もちろんここで記したような機能面の案件とは別に、製造元のハッセルブラッド社が(スクエアヘッドのお国柄には珍しく?)プロの現場の要求によく応え、細かな改良を積み重ねてきたことにあるのだろう。よく知られるように、このカメラシステムは半世紀以上の長きにわたって基本骨格を変えず、すぐれた広告写真家のパートナーであり続けた。移り変わりの激しい世の中にあって、これは驚異だと思う。
 1948年に登場した1600Fを端緒とする6×6判のハッセルブラッド「Vシステム」はもちろん健在だけど、同社ではデジタル時代を見据えた6×4.5判の「Hシステム」を既に展開している。このシステムにはツァイス製に代わって富士フイルムのレンズ群(スーパーEBCフジノン)が採用され、好評を得ていると聞く。またカメラ本体もまったく同じモデルが「GX645」として日本国内発売されている。かつて日本人には憧れの対象でしかなかったハッセルが日本の技術を採り入れたわけで、これは大いに誇って良い事実だと思う。

 いや失礼、スクエアフォーマットの話だった。今回あらためて取り組んでみて、正方形の画面の難しさと面白さを痛感しているのだけど、残念ながらこの画面比率は今はマイナーな存在のようだ。その理由はいろいろ考えられるけれど、ひとことで言えば「四角四面の融通のきかなさ」みたいな部分があるのだろう。
 もちろんどんなカメラを使っても、画面をトリミングしてしまえば正方形のアウトプットを得ることは簡単だ。未体験の方がそういうやり方でこのフォーマットに親しむのも悪くないだろう。
 でも趣味の写真とはいえ(いや、趣味だからこそ)画面の比率ということに拘ることも大切だ。画家がキャンバスを選ぶように、というと気取りすぎだけど、世界をどういう比率で切り取るか、それをこれほど意識させてくれるフォーマットは他にないと思う。ボディの内側を覗いて真四角に口を開けたアパチャー(フィルム開口部)とその奥に潜むレンズの正円を眺めたとき、ひとは「丸で四角を切り取る」写真の不思議さと愉しさを実感するのではないだろうか。
(この項終わり:次号は「maRiko's photo diary」を掲載します)

●暑い日にモデルを務めてくれたひと:脊山麻理子



2004年09月29日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部