* 週刊フォトエッセイ*

Classical Photo-gear Explorers 東京レトロフォーカス

  文・写真/中山慶太 --->Back Number


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年の瀬の浅草・仲見世にて。ライカの美点はスローシャッターを安心して切れること。これは可動ミラーを持たないレンジファインダー機の特権なのだが、静粛な布幕横走りシャッター(未だにこれを使い続けている)を持つライカはこの点で抜きんでている。
Leica M3 +Elmarit-M 28mmF2.8 FUJICOLOR New Pro400
(C)Keita NAKAYAMA



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戦前ゾナーとおなじ基本設計を持つ旧ソ連製レンズ、ジュピター3で。コンタックスの1/25秒はカメラのホールドに気を配らないとブレの危険がある。ここではピントを手前の目に合わせたつもりだったが、被写体が動いたようだ。
Zeiss Ikon Contax IIa + Jupitar-3 50mmF1.5
(C)Keita NAKAYAMA





好きなカメラ、嫌いなカメラ #3

 ライカM3とコンタックスIIa、両者を目にしてまず感じるのは“たたずまい”の違いだろう。直線基調で面の取り方が鋭角的なコンタックスは、この戦後型でずいぶんと軽やかになった。とはいえクロームメッキの輝きは宝飾品のようで、どこか貴族的な雰囲気がある。対するライカはずっと落ち着いた曲線デザイン。メッキの輝きも軟らかく、サテンクロームと形容される緻密な仕上げだ。
 両者のサイズは戦前のそれが逆転しており、ライカよりも大柄だったコンタックスはこの戦後型ではずいぶん小振りになった。これはM型に先立つ“バルナックライカ”を標的にダウンサイズしたのだろう。ところがライカは逆に戦前コンタックスとほぼ同寸になり、両者のコンセプトがはっきり分かれたことが伺える。
 手にしてみると、両者の違いはやはり外観の印象を反復する。持つ手に馴染むライカ、撮影者の指の置き方も規定するコンタックス。血は争えないということか。

 とはいえ、コンタックスも戦前型と比べればずいぶん使いやすくなっている。指先に痛いほど重かった巻き上げは指一本でもできるほど軽くなり、距離計の対物窓も内側に寄せられて指で塞ぐことがすくなくなった。
 そう、この頃のコンタックスは戦前の完全主義的なものづくりを止め、ユーザーフレンドリーを志向したのだ。なぜそうなったのかといえば、例の東西ツァイスの分裂による企業色の変化がある。もはや造り手の完全主義が受け入れられない時代を痛感したのだろうか?
 いやいや、そんなはずはない。なぜってこのコンパクトな筐体のなかには、あの完全主義に裏打ちされた過剰なメカが健在だからだ。金属製の“鎧戸型”縦走りメタルフォーカルプレーンシャッター、長大な有効基線長(戦前型より短縮されたが倍率を高めて同等の精度を確保した)、そして独特のバヨネットマウント。こうした基礎体力は、すべて戦前型と変わらない。スローガバナーのネズミ鳴きは聞こえなくなっても、そこにあるのはゲルマン的機械信仰の権化である。
 ではいっぽうのライカはどうか。

(次号は「maRiko's photo diary」を掲載します)

●モデル:野口早依子


2005年01月26日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部