* 週刊フォトエッセイ*

Classical Photo-gear Explorers 東京レトロフォーカス

  文・写真/中山慶太 --->Back Number


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ナチュラSの24mmという焦点距離はなかなか微妙。28mmがわりと普通の感覚で撮れるのに対し、僅か4ミリの差で世界は激変する。かといって21mmほど非現実的でもない。使いこなしのコツは強いパースをどうやって手なずけるか、それにはカメラポジションに留意する必要がある。
FUJIFILM NATURA-S + Super EBC FUJINON 24mmF1.9 / FUJICOLOR New Pro400
(C)Keita NAKAYAMA



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35mmはある意味ライカの標準レンズ。ズミクロンとプロ400の組み合わせは強調感のないこの画角に良く似合う。空が軽くならないところがいい。快晴のソウル・東大門市場にて。
Leica M5 + Summicron35mmF2 / FUJICOLOR New Pro400
(C)Keita NAKAYAMA



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ツーラグのエムゴ黒と桃ナチュラ。開発時期は実に30年以上の隔たりがあるこの両機、M5に写真の標準レンズを装着した状態で体積比2:1、重量比は4:1を超える差がつく。では写力比は?
(C)Keita NAKAYAMA

『ライカとナチュラな日々 #2』

 機材の山を崩して前に進む。柄にもなくこんなことを考えたのは、さいきん使いはじめた二台のカメラの所為である。偉そうなことを書いても「きっかけは、お道具」というところが情けない。まあヲヤジの限界ということでご容赦。
 で、その二台とは……ライカM5とナチュラS、ってタイトルでバレバレですね。はじめて本格的に電気の力を借りたM型ライカと、その進化の果てに生み出されたちいさなフルオート機だ。我ながら脈絡のない取り合わせのようだが、理由はちゃんとある。まあそれはおいおい書くことにして、当面の撮影は(事情が許すかぎり)この二台に絞ることに決めた。

 実はこの二台のカメラ、使うのはこれがはじめてではない。M5は友人のものを何度か借用しているし、ナチュラSはレンズ設計の取材時にテスト機二台が手元にあった。だからイメージは掴んでいたつもりだったのだけど、いざ並べてみると両機はみごとに正反対。まるで重戦車vsファンシー系スモールカーという趣である。などと書くとどっちにも失礼な気がするが、僕のM5は黒、ナチュラSは桃色なのだ*。桃ナチュラ、正しくは「ロゼ」というらしい。
 じっさい両機に共通するのは、35mmフィルムを使うことくらい。それ以外はシャシーの材質もフィルム給送もピント合わせも露出制御も(M5はピントと露出を制御しない)まったく異なる。つまりカメラを構成する基本要素になんら共通項がないわけで、だから両機はメイン機材とサブ機という位置づけにもならない。
 かように成り立ちを異にする両機だけど、たぶん説明が必要なのは「何故ナチュラSか」ということだろう。この連載を通じて、僕は旧い機械式カメラを賛美し続けてきたからだ。これはすなわち趣味人間として現代のカメラが目指す自動化に「同意しない」という意思表示である。
 まあそう言っても最新の自動カメラを逐一吟味して否定しているわけではないし、仕事ではデジタルも使っている。だからパソコン上で提供されるソフトウェアの使用許諾みたいに、ろくに読みもせず「同意します」をクリックして使えば良いようなものだけど、好きなものほどこだわりがある。撮影の結果に意志を込めようとするなら、やはりピントも露出もマニュアルに如(し)くはない、と思っていたのだ。

※制作協力:脊山麻理子

*注:両機は外装仕上げにカラーメッキ処理を採用している。M5のそれは真鍮外皮に「ブラッククローム」と呼ばれる着色メッキで、カメラボディへの採用はこれが世界初という(他にシルバークローム仕上げもある)。ナチュラSの詳細は不明だが裏蓋を除くボディ外皮はアルミ合金、仕上げはこれを陽極酸化(=アルマイト処理)後に染色する着色アルマイトだと思う。


※中山さんの撮影現場やご自宅に潜入取材をした・・・

 ◆今週の『中山さんが動クンです!』



2005年06月15日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部