* 週刊フォトエッセイ*

Classical Photo-gear Explorers 東京レトロフォーカス

  文・写真/中山慶太 --->Back Number


写真
---> 拡大表示

1956年製沈胴ズミクロンで。少女とレンズの歳の差は三十八。絞り開放からピントに芯があり、ただしコントラストは相応に低い。やはりモノクロが気持ちいい描写である。
Leica M5 + Summicron35mmF2 / FUJIFILM Neopan100ACROS
(C)Keita NAKAYAMA



写真
---> 拡大表示

猫科の娘。
Leica M5 + Apo-Summicron90mmF2asph. / FUJICHROME ASTIA100F
(C)Keita NAKAYAMA



写真
---> 拡大表示

M5の露出計受光部はこういう仕組み。これはフィルムを巻き上げた状態で、CdS内蔵の受光部はレリーズボタンのストロークに連動して右下に待避する。またレンズを外した場合も受光部は格納されるので、通常は人の目に触れることはない。ここではM-Lアダプタ(バルナック用レンズをMマウントに変換するアダプタ)を装着して受光部を強制的に露出させている。この受光部を除いて暗箱内部の様子はM3と大差がなく、ただし底面には広角レンズの後群を避ける抉りが入る。
(C)Keita NAKAYAMA

『ライカとナチュラな日々 #14』

 机の上にカメラを並べてもなかなか原稿が進まない。そこで気分転換に(というか手っ取り早い現実逃避の手段として)M5と桃ナチュラで撮影に出かけることにする。おっとその前にバッテリーのチェックをしておこう。M5の電池は街なかではなかなか手に入らないのだ*。
 バッテリーチェックはカメラの正面右側、視野枠セレクターレバーで行う。既出のファインダー情報をご覧いただくと、露出計スケールの右下に切り欠きが見えるはずだ。フィルムを巻き上げ状態にしてレバーをレンズの逆方向に倒し、指針の一方がこの切り欠きより右に移動すればOK。ちなみに容量の小さい代用電池でもバッテリーの持ちは良く、僕のようなヘビーユーザーでもまず数ヶ月は交換不要だ。小食なCdS受光素子と手動巻き上げの御利益である。
 余談だが現代のカメラは一般に電気を食いすぎる傾向にある。これは電子回路の要求電圧が高いためで、結果バッテリーはまだ余力を残したところで交換となる。特に仕事カメラでは初期の残量警告が出た時点で交換するので、よけいに無駄な気がする。まあたいした出費でもないとはいえ、大食漢が食べ残しをするようでなんとなく納得いかない。

 レンズはその日の気分で選ぶ。いぜん多用していた28ミリは最近めっきり出番が少なくなった。これはM5のファインダーが35ミリまでの視野枠しか積んでいないためである。もちろん外部ファインダーを使う手もあるけれど、M5のアクセサリーシューは右手側に大きくオフセットしており、ここにファインダーを載せると巻き上げレバーに近すぎて覗きにくいのだ。逆にボディ側ファインダーとの距離は遠すぎる。一部の旧レンズが使えないことも含め、超広角域への対応が弱いのはM5の数少ない弱点だと思う**。
 素晴らしい描写のエルマリート28ミリの出番が減ったのは残念だけど、そこは併用する桃ナチュラに頑張ってもらおう。このカメラが積んでいるスーパーEBCフジノン24ミリは不思議なレンズで、被写体に近接したときの背景の溶け方(ちょっと蜃気楼のようなボケ方をする)は半世紀以上も前のエルマー35ミリにも似ていると、これはある達人のご意見。レトロな後ボケに現代的なピント面が重なる描写はライカとは異質の世界だが、もともとサブカメラにするつもりもないのでこれはこれでいい。
 さてその24ミリと組み合わせるレンズは何がいいか。路上スナップは35ミリが使いやすいし、散歩写真なら50ミリがユースフルだろう。どちらも機材棚にはいろいろあるので選ぶに困らない。キリキリ描写の最新非球面レンズから腰砕けの太古レンズまで、選択肢が多いのはライカならではである。

※制作協力:脊山麻理子

*注1:ライカM5のバッテリーは電圧1.35Vの酸化水銀電池「PX625」で、これは現在入手不能。代用品としては1.5Vのアルカリ電池「V625」「LR9」などがあり、一応使える。電圧が変わることでメーターの指示値がずれるがフィルム感度設定で矯正できる(いずれにせよ旧いカメラの露出計は頻繁なチェックと矯正が必須)。ただしコイル断線などのリスクもあるので、気になる向きは市販の電圧変換アダプターを使用されたい。

**注2:ライカM5にはバックフォーカスが極端に短い対象形広角レンズは使用できない。これはボディ側に突出したレンズエレメントの後群がシャッター幕直前に置かれた受光素子に衝突するため。ライツ純正品ではスーパーアングロン21mm、エルマリート28mm第一世代などが装着不能となる(M5発売以降に投入された改良型は装着はできるが露出計が作動しない)。ただしこうした対象形レンズは現在では少数派で、換わって主流となったレトロフォーカス形レンズはほぼ問題なく装着できるし露出も正確に測れる。


2005年10月05日掲載

<--Back     Next-->



Copyright :
マカロニ・アンモナイト編集部