* 週刊フォトエッセイ*

Classical Photo-gear Explorers 東京レトロフォーカス

  文・写真/中山慶太 --->Back Number


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暗い条件を承知で低感度フィルムを詰めるのは覚悟が必要、といったら大袈裟か。でもフィルムカメラの面白さはその覚悟にあると思う。
Leicaflex SL2 + Summicron 35mmF2 / FUJICOLOR Reala ACE
(C)Keita NAKAYAMA



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上掲作から画面4分の1を拡大。腕はブレても身体の中心軸は静止している。特別な技ではないけれど、被写体と息が合わないとなかなかうまくいかない。
Leicaflex SL2 + Summicron 35mmF2 / FUJICOLOR Reala ACE
(C)Keita NAKAYAMA



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ウェッツラー製SLRの三世代。左から初代ライカフレックス(後期型)、ライカフレックスSL、同SL2。よく似た意匠だけれどこうして並べるとけっこう異同がある。SLを基準に観ると初代フレックスはペンタ部の頂点が狭く(これは21ミリの外部ファインダーに合わせてある)、ボディの背も低い。対してSL2はボディシャシーそのものが異なり、背面のカーブが緩くなってややもっさりとした造形。ただし操作性はもっとも優れており、これは大型化したシャッターダイヤルがボディ前縁から突出したため(これはM5のアイデアを流用したもの)。三世代すべて巻き上げレバーの意匠が違うのが面白い。
(C)Keita NAKAYAMA

『サンクチュアリ #11』

 初期のライカSLR三世代を交互に使いはじめて数ヶ月。何となく見えてきたこともあれば、まだよく分からない部分もある。見識のある方なら瞬時に看破するところかもしれないが、思ったことを少しまとめておこう。
 まず操作性について。これは特筆すべきことがらは浮かばない。まぁ初代フレックスの測光システムや焦点板などは今となっては変人の部類だけど、これは重箱の隅をつつけば、というところ。使いはじめればすぐに慣れる。というか僕みたいに変なカメラばかり弄っている人間から観れば、ごくごくフツーのカメラである。巻き上げレバーやシャッターダイヤル、レリーズボタンは指が慣れた場所に置かれているし、裏蓋もちゃんと横に開く。
 機構についても同様で、先に触れた組み立ての方式や部品の精度などを除けば、日本製の一眼レフとそれほど大きな差はないと思う。ということは、一眼レフの分野で後発だったライツ社が、先行していた日本製カメラを参考にしたのだろうか。そういう面もあるだろうが、これは恐らく違うと思う。
 一眼レフの機構はイハゲー・エキザクタやツァイス・イコンのコンタックスSなどがその基本をつくった当時から、基本的な成り立ちは大きく変わらない。レンズを通った光の行く手をミラーで差配し、ファインダーとフィルム面それぞれに導くやり方は、ごく一部の変種を除けばすべての一眼レフに共通するものだ。だから(距離計連動機などと違って)メーカー間の差は生じにくい。いわば最初に合理的な解が提出されてしまっているわけで、独自性を主張することは難しい。じっさい無理にオリジナリティを出そうとしたチャレンジャーもいたけれど長続きしなかった。
 もちろん可動式のミラーを瞬時に復元させるクイックリターンの方式や、測光システムをどうやって組み込むか、といったところにメーカー間の差は生じる。でもこれはシステム全体から観れば要素技術というべきもの、いわばフレンチや中華などのジャンルのなかで調理器具や調味料を変えたようなものである。人気の店に行列はできても、客層が別のジャンルの店と感じるほどの違いは出せないのだ。

 ではライカフレックスというシリーズの個性と価値はどこにあるのか。改めてそう問われて、十年一日のごとく「上質な操作感触」と答えるようではあまりに能がないので(いっしゅん指が滑ってそう書きそうになったが)もうすこし捻った回答を探してみよう。
 え〜ぉほん。僕がつらつら思うに、その答えは「不変の味付けとサービスの提供」そして「客に店の裏側をみせないこと」である。

※制作協力:脊山麻理子


2006年05月17日掲載

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