* 週刊フォトエッセイ*

Classical Photo-gear Explorers 東京レトロフォーカス

  文・写真/中山慶太 --->Back Number


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サーカスのテントに佇む少女。スリット状に入る直射光は強烈で、低感度ネガフィルムのラチチュードをフルに使ってもハイライトは飛びシャドー部は潰れる。初代フレックスの露出計では撮影位置での正確な測光は不可能、単体露出計で慎重に測って露出を決めた。
Leicaflex + Summicron 90mmF2 / FUJICOLOR Reala ACE
(C)Keita NAKAYAMA



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上掲のカットを拡大。ぎりぎりでトーンを残したハイライト部でも解像感が失われていない。傑作の名に恥じない素晴らしいレンズだが、周辺部に倍率色収差が残るなど時代を伺わせる欠点もある。
Leicaflex + Summicron 90mmF2 / FUJICOLOR Reala ACE
(C)Keita NAKAYAMA



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初代ライカフレックスに大口径90ミリを装着する。フレックスの外光式露出計はこの焦点距離にほぼ等しい受光角を持ち、これより長焦点側のレンズとの組み合わせでは全面測光となる。露出計の感度分布はどの方式にもメリットとデメリットがあり、優劣は撮影者の好みや撮影目的によって変わってくるのだが、個人的にはやはりSL以降のスポット測光が好ましく感じる。なお90ミリのズミクロンは1969年にSLと同時発売されたもので、フレックスの現役時代は開放値F2.8の「エルマリート」しか存在しなかった。
(C)Keita NAKAYAMA

『サンクチュアリ #16』

 分不相応にライカなどを首から吊していると、いろんな質問を受ける。
「写りはどうですか? やっぱり違います?」確かに違いますが、それを言ったらぜんぶのカメラが違うと思います。
「造りは良いんですか」最近のはそれほどでもないですね。
「中古でいくらくらいですか」……ピンキリです。
 古今東西いろんなブランドがあるなかで、とかく名前が独り歩きするのがライカである。だからそのイメージも百人百様で、誰もがそれぞれに「私のライカ像」というのを持っているに違いない。
 それで僕のイメージはというと、「ライカはファインダーのカメラである」というもの。写りや操作感触は時代ごとに変わっても、ファインダーの見えは変わらない、わけがない。かのM型だって時代ごとに機種ごとに違うし、一眼レフはまた別の思想でつくられている。
 でも、ライカがライカたる所以は、ファインダー視野をとても大切にしているところにある、と思う。その時代の最高の技術を投じて作られたファインダーだから、覗いたときの気持ちよさはやっぱり格別だ。すくなくとも70年代の半ばまではそうだった。機種によっては実用性に疑問符がつく場合もあるけれど、やはりライカはファインダーである。

 たとえばライカM型に欠かせないアクセサリー「外部ファインダー」を見てみよう。旧くはSBLOOとかSBOOIなどという電略*で呼ばれたちいさな光学機器は、その洒落た外観と視野の素晴らしさで愛好家を魅了し続けてきた。
 なかでも21ミリのファインダーなどは、見え具合の良さ(と飛び抜けた高価格)でマニア垂涎の的である。僕もはじめてこいつを覗いたときはたまげた。肉眼で観るよりよく見えるというか、覗いただけで変哲もない風景が上質の写真と化してしまう。ライツはいったいどういう魔法を使ったのだろう?
 僕のように裸眼の視力がそこそこある人間にはよく分からないけれど、これは高品質の眼鏡にも似ているようだ。つまりコントラストが高められているために、光が凝縮して感じられるのである。こういう効果はリバーサルフィルムにもあって、ただしそちらはネガフィルムと好みが分かれるところなのに対し、ファインダーは高コントラストの方が気持ちがいいと思う人がほとんどだろう。曇った眼鏡を好む人がいないのと一緒である。
 ではライカフレックスのファインダーはどうなのか? これはちょっと話が複雑だ。

制作協力:クニトウマユミ

*注:ライツ社/ライカ社はすべての製品に流通管理用のコードナンバーを振っている。これはどこのメーカーでもやっていることだが、ライカの場合はカタログにその記号が表記されることが多く、ために販売店や顧客もこれを暗記することが義務づけられて(?)いた。60年代まではアルファベット5文字の組み合わせで、なにやら暗号のようだが固有の意味は無い。これは当時の受発注に多用されたテレックス用の「電略記号」なのだ。(現在は5桁の数字が基本で、同一品種のバリエーションが生じた場合はアルファベット1文字が付加される)


2006年07月05日掲載

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