* 週刊フォトエッセイ*

Classical Photo-gear Explorers 東京レトロフォーカス

  文・写真/中山慶太 --->Back Number


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名玉ズミクロン50ミリで。多少絞っても絶妙な軟らかさが残るところが得難い個性だ(こういう画面構成はもっと長いレンズで撮った方がパースの影響を回避できますね、反省)。
Leicaflex SL2+ Summicron 50mmF2 / FUJIFILM Neopan400 PRESTO
(C)Keita NAKAYAMA



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季節外れの木枯らしが吹いた日に。往年のライツらしい、泰西名画のようなトーンがよく似合う場面。
Leicaflex SL2+ Elmarit 19mmF2.8 / FUJICOLOR Reala ACE
(C)Keita NAKAYAMA



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SL2のスプリットプリズム付き焦点板を得て、どうにかピント合わせができるようになった19ミリ。それでも近接時には目測で撮った方が安心できる。画面左上の直線が歪曲しているのが分かるだろうか。 Leicaflex SL2+ Elmarit 19mmF2.8 / FUJICOLOR Reala ACE
(C)Keita NAKAYAMA

『サンクチュアリ #17』

 さて、ライカフレックス系列のファインダーの話に戻ろう。初代のフレックスは恐ろしく明るい視野で愛好家の肝を潰したが、潰れた肝を復元したユーザーからは、やっぱり視野のほとんどが素通しなのは不便(実際には超微細なフレネルレンズになっているが、中央部以外でのピント確認は不可能)という苦情が相次いだらしい。
 そこでライツの技術陣は、後継機のSLに新機軸を編み出して投入する。これが「色つきの半透過ミラー+全面マイクロプリズムの焦点板+ダブルコンデンサーレンズ」である、ということは前々回に記した通り。
 ファインダー視野の着色は、その後のライカ一眼レフのトレードマークみたいになってしまった。これはSLにはじまったものだから、さては特徴的なTTL測光システムと関係があるのか、と思ったが技術的な必然は特にないようだ。むしろ測光システムには有害な面があるという*。
 そういうデメリットを孕んだ技術を敢えて採用したのは何故か。僕はそこにM型や外部ファインダーで培った思想、すなわち「視野のコントラストを最適化する」というライカ一流の企みを見る。撮影レンズを通して被写体をモニターできる光学系は一眼レフの大きな特長だが、そこにM型のような「見えの演出」が入り込む余地はない。ならばミラーに着色をして、コントラストを撮影に適した状態に調整してはどうか?
 と、まぁ、これは勝手な推測である。実際にはライツ社の誰かが「サングラスを掛けた方が眼に優しいでしょう」くらいの軽いノリで思いついて、それを外部の写真家に見せたら好評だった、というあたりが真相かもしれない。
「理詰めのドイツ人がやること」だからと、こっちも深読みし過ぎてしまうのだけれど、SLのファインダーには笑って済まされない問題がもうひとつ残っている。

制作協力:クニトウマユミ

*注:SL発売時にこれをテストした日本の雑誌は「受光素子が青系に着色された半透過ミラーを通過した光(赤味がかった光)で測光することの問題点」について言及している。電気的に補正することは可能だが、すくなくともSLの時代には無補正だったらしい。


2006年07月12日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部