* 連載フォトエッセイ*

Classical Photo-gear Explorers 東京レトロフォーカス

  文・写真/中山慶太 --->Back Number


写真
---> 拡大表示

春色のポートレート。焦点距離200ミリはこの連載はじまって以来の長焦点だ。絞り開放でも充分な描写性能(特に発色は素晴らしいと思う)だが、開放でのピント合わせとカメラホールドにはかなり神経をつかう。
Konica Autoreflex T3 + Hexanon AR 200mmF3.5 / FUJICOLOR PRO400
(C)Keita NAKAYAMA



写真
---> 拡大表示

上掲作とおなじく、絞り開放、最短撮影距離付近で。この条件での被写界深度は前後に3センチほどしかなく、マット面でのピント合わせで被写体の僅かな動きに追従するのは難しい。やはり現代の多点AFは偉大なイノベーションと思いつつ、マニュアルフォーカシングの苦労もまた愉しいものだ。
Konica Autoreflex T3 + Hexanon AR 200mmF3.5 / FUJICOLOR PRO400
(C)Keita NAKAYAMA



写真
---> 拡大表示

コニカ・オートリフレックスT3。国産SLRが小型軽量路線にひた走る直前の、このメーカーとしては最後のフルメタル・フルスペック機である。画像は73年に発売された前期型。普通のサイズに見えるが厚みを除く外寸と重量は同時期のニコンF2とほぼ同一、大柄で重いボディは「73式戦車」とでも呼びたくなる存在感がある。操作感触も各部の仕上げもこのメーカーならではの高品位なもので、ただし外装パーツの一部鋳肌などに僅かな乱れが見られるのは、この時期のカメラ業界を取り巻く厳しい経営環境を暗示しているのだろうか。コニカ製一眼レフはこのモデル以後、独自の機能を載せた中級機で生き残りを図ることになる。
(C)Keita NAKAYAMA

『SLRとの対話 #6』

 ケータイを換えた先の年末、多少の機材と引き替えに別のカメラボディとレンズを入手した。すでに対応マウントが手元にあるコニカ製SLRの上級機種(と他にもう一台)、それに標準の大口径レンズと広角〜望遠系レンズである。
 コニカのボディを増やしたのは、例の「Acom-1」ではどうしても限界があるからだ。それはシャッタースピードが低速側で1/8秒までしかないとか、プレビュー機能を持たないとか、そういう機能上の問題ではない。そもそも購入の動機であった小型軽量ボディが手ブレにつながりがちなためで、このことに注意を払わなかったのは使い手の不明というべきだろう。
 手ブレを招くもうひとつの理由は、このところ併用しているボディがコンタックスRXということもある。京セラ・ヤシカが最後の輝きを放っていた時期につくられたこのカメラ、繊細なシャッター/ミラー/絞り駆動メカとホールド性に優れたボディ形状、それに重量級ボディの相乗効果で、驚異的に手ブレに強い。しかもレリーズはストロークのほとんど無い(初代RTS以来伝統の)フェザータッチ。加えてモータードライブ内蔵だから、自然に構えて普通にレリーズするだけで、ほとんど盤石と言えそうな安定感が得られる。
 対するAcom-1はというと、RXよりも四割がた軽いボディ重量とやや過大なレリーズショックのおかげで、手ブレにはことのほか弱い。そこでRXから持ち替えておなじ感覚で撮っていると、日中でもビミョーなブレ写真を量産するハメになる。まあこれは注意していれば防げるレベルの話だけど、ポートレートなどを撮っているとついついそういう注意が散漫になる。というわけで、おなじマウントでとにかく重いボディを探して「オートリフレックスT3」を入手したのだった。

 そのT3、使ってみると確かにブレは減った。といってシャッターやミラー駆動のメカはAcom-1とさほど差はなさそうだから、これはボディの重量がスタビライザーとして効いているのだろう。このことは以前に特集したライカのSLRでも体感していたのだが、特に長焦点レンズを使ったときのブレ抑制効果は霊験あらたか。なるべく低感度のフィルムを使い、かつ三脚を使いたがらない(被写体の自然な動きを妨げたくない)僕のような人間にはとても有り難く感じられるところだ。
 もちろん、小型軽量のカメラにはそれなりの美質がある。首に吊してもカメラバッグに収めても負担が少なく、長時間の撮影行でも苦にならない。また重量級のカメラと違って、被写体に与える威圧感の少なさもメリットといえるだろう。ただしブレに対する防御の甘さは、使い方によっては致命的な弱点にもなり得る。
 こうした特質はほんらいユーザーがきちんと認識すべきこととはいえ、抜本的な解決には技術の進歩(ミラーダンパーや手ブレ補正機能など)を待つしかなかった。そうした技術が普及した今、過日の小型軽量機は存在意義を失ってしまったのだろうか?
 そんなことはない、と思うのは、こうしたカメラたちが写真撮影の基本を思い出させてくれるからである。ブレに注意すべき局面では、カメラはしっかりホールドするべきであって、漬け物石みたいな重量でしかブレが防げないとしたら、それは技術が足りていないのだ。機械ではなく、それを使う人間が。


*制作協力:クニトウマユミ


2008年04月16日掲載

<--Back     Next-->

東京レトロフォーカスの目次へ--->



Copyright :
マカロニ・アンモナイト編集部