* 連載フォトエッセイ*

Classical Photo-gear Explorers 東京レトロフォーカス

  文・写真/中山慶太 --->Back Number


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今回は135ミリを三本。最近ではズームに吸収された焦点距離(市場でもあまり人気がない)だが性能は充分、それを活かせる条件をつくれば佳い絵が撮れる。被写体が手にしているカメラは近日登場の予定。
Konica Autoreflex T3 + Hexanon 135mmF2.5 / FUJICOLOR REALA ACE
(C)Keita NAKAYAMA



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こちらは70年代初頭の旭光学製SMCタクマー。僕の手元にあるのは後期型の6群6枚構成(前期型は4群5枚らしい)。上掲のヘキサノンARに比べると逆光に強く、こういう条件では暗部の締まりに差が出る。
Contax RX + SMC Takumar 135mmF2.5 / FUJICOLOR REALA ACE
(C)Keita NAKAYAMA



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描写の安定性に定評のあるゾナー。上の二枚とは光の条件が違い、強い逆光で色が抜け気味になった。今回の三枚はすべて絞り開放で撮影(本来はもう少し絞るべき)、ピントはゾナーがもっとも優秀だが絞れば差は出ないだろう。
Contax RX + Sonnar T*135mmF2.8 / FUJICOLOR REALA ACE
(C)Keita NAKAYAMA

『SLRとの対話 #14』

 写真の露出は難しい。これはよく言われることだけれど、じっさいには簡単に済ませる方法もある。よくできたカメラを選んで機械にすべてを委ねてしまうか、またはフィルムの特性を利用してアバウトに撮ってしまうか。どちらも問題解決にはじゅうぶんに効果がある。文句をつけるとしたら、それが自己表現の手段としてあまり美しくないことだろう。
 そこで僕のような半端な人間がやることといえば、なるべく機械に頼りすぎず、フィルムの美味しい部分をきちんと使うべくアタマを捻ることである。ただしそれで思うような露出が得られたとしても、写真を観てくださるひとには簡便な手法との差などまず看取されない。つまり自己満足に過ぎないのだけど、それをいってしまったらカメラのブランドや新旧の差なども大した問題ではない、という真理の壁にぶつかって怪我をする。
 まあ趣味というのは「どこで自分と折り合いを付けるか」がたいせつなのだ、ということにして、とっとと話を進めよう。

 前の回に記したように、70年代の国産カメラは、こと露出制御という部分においては未だ完成の域に達していなかった。当時にあって日本のカメラ産業はすでに世界最先端に位置していたけれど、世紀を隔てた今の目で眺めれば、積み残された技術も多い。そしてこのことは、SLRというジャンルにおいては特に強く意識される。なぜかといえば、この種のカメラが常に技術主導型でつくられてきたためである。旧さが粗(あら)として目に付きやすい、といってもいい。
 僕の手元にある、または過去に手にした70年代SLRたちにしても、カメラの内蔵露出計は「使うのにちょっぴり不安が残る」というレベル。なので、この連載用の写真を撮りはじめた頃は、単体露出計を併用することが多かった。
 それで撮り進めているうちに、けっこうコツがつかめてきたというか、カメラの癖もだいたい分かってきて、露出計の出た目に補正を加えればほぼオッケー、という具合にサクサク撮れるようになったけれど、AEはいまだにあまり使う気がしない。まあこれは新しめの機種でも事情はあまり変わらないのだけどね。

 誤解のないように書いておけば、露出計というものはカメラボディ内蔵の反射式でも、単体の入射式でも、正確な露出値が得られる仕組みなのだ。ここで「正確な露出値」という言葉が何を指すかというと、露出計の指示に従って18%グレーの標準反射板を撮影した場合に、その濃度がフィルム上に正しく記録されるという意味である。
 つまりこの動作が正確であれば、つまり露出計がきちんと調整されていれば、写真のアガリはカメラの新旧を問わず真っ当なものになる。もしも露出を外したとすれば、それは撮影者が意図した露出をカメラ操作に反映しなかった、つまり撮り手のミスと言うことになる。理屈の上では確かにそうだ。
 だからこの連載で紹介しているような70年代SLRを入手して、まずやらなければいけないのはカメラの掃除、ではなくて露出計のチェックである。これは上に記したようなグレーボードに照明をあてて、基準になる露出計と比較すれば結果はすぐに出る。指示値が狂っていたら*フィルム感度で校正して使うか、または返品するかどちらかを選ぶ。どっちも面倒だという場合は電池を抜いて、完全なマニュアルカメラとして使うのも潔くていいかもしれない。

 さて、カメラはきちんと調整した。光の条件に合わせて露出補正も加えたつもりである。にもかかわらず、撮影結果がどうにも思わしくない。これは何故なのか。それはカメラへの愛情、ではなくて理解が足りていないからだ。


制作協力:クニトウマユミ


*注:70年頃までのカメラで露出計の指示値に誤差が出る要因はいくつかある。もっとも多いのは電源の電圧が違う(水銀電池とその代用電池での誤差)場合だが、まれにISO感度調整ダイヤルの接触不良というケースもある。この部分には可変抵抗が用いられており、その接点が酸化すると正確な抵抗値が出ない。これは分解掃除が必要だが、何度か回しているうちにセルフクリーニング効果で回復する可能性もあり、これは使用頻度によって状態が変わるので定期的なチェックが必要だ。


2008年09月03日掲載

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