* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number


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5 Hole adjustable swivel
(吊りベルトに取り付ける金具である)
こういうものを「市販」しているハリウッドってやっぱりスゲエ。









Roll 15 人吊り その4 Nice guy

 もはや中年の域にさしかかっているが長年キザな二枚目で通している男優がいる、その主演映画に危険な吊りがあった、廃工場の非常階段からぶら下がるのだ、工場は4〜5階建ての高さがあり落ちれば命はない、これはいわゆる安全策としての吊りだ。

 別段なにごとか起こるとは思わないが、人の命をあずかるのはとてもイヤだ。
 私は映画というのは危険に見える絵を安全に撮るのが本当だと思うので、本当に危険な状態に役者の身をさらして、危険に見える絵を撮るのは間違っていると思う、思うのだがこれまたワンポイントリリーフのお仕事で打ち合わせから参加していないのでしょうがない(参加していれば、絶対に代替案を出す)

 こっちだってイヤなのだから役者だってイヤだと思う、でもその場でゴネられたり(あるいはビビられたり)されると困る、そんな状況ではまともなコミュニケーションがとれないからだ、こちらの言うことが耳に入ってくれないと余計なリスクを負いかねない。

 この人は大ベテランだし、普段から昔風の大物風を吹かせているので何か言い出したらやだなあ(トラウマですね)と思っていたのが大間違い、リスクコントロールに関しては全て信用していますという態度を通し、本番中も痛いとも痒いともいわず、更には終了後にお疲れさまですという私に対して「こちらこそありがとう」と言って吊りベルトをたたんで返してよこしたのである。

 自分の容姿に絶大な自信をもっているキザ男、という割とマイナスイメージを持っていた私は自身の偏見を大いに恥じ入り、熱烈なファンになった・・かというとまあそれほどでもないのだが(2枚目は基本的に好きじゃないので)でも好感度はずいぶん上昇した。(続く)


2002年01月23日掲載

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