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映画の舞台裏(舞台上?)


* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number 




Roll 25 舞台

 映画は「興行」と言われているが、ショー、舞台などとくらべると作り手と観客の距離が離れている、実際「離れている」ではなく切り離されていると言ってもいいくらいだ。

 だからウケていますと言われても実感はあまりない、クランクアップから公開まで半年とか(1年とか)の間があくため、最後まで仕上げに忙しい監督は別として現場スタッフはまず自分たちの興奮が醒めている、ウケている観客を目のあたりにするチャンスもない、自分で劇場に足を運んだ時苦労したカットで観客からおおっ!とかいう声があがれば「やった」と言う気もするがまあせいぜいそのくらいだ。

 興収とか配収とかいう数字は宣伝部にはリアルな数字なのかも知れないが一スタッフに何かを実感させてくれるものではない、ちょっとさびしい。



 映画では一発勝負でリテイクがきかないカットというものが時にある、本番まったなし、とかNG無用とか言う、言いはするのだが実際に本番の失敗がそのまま観客に伝わるものではない、他のスタッフに対して、特に信頼を寄せてくれていた監督に対して面目がたたないということはあるが、リカバリーをする(してもらう)余地は常にあるのだ。

 ところが舞台は違う、失敗はストレートに観客に伝わるしうまくいった時の観客の興奮もダイレクトに伝わってくる、この緊張感は大きな醍醐味だ、大きな舞台の大きな仕掛けでも、遊園地のヒーローショーでもそれは変わらない、というかむしろ「小さなお友達」が目を皿のようにして手に汗握って観てくれたほうがやりがいがある。

 私は基本的には映画屋なのでめったに舞台はやらないのだが、役者がやっぱり舞台はいいですよねというのはわかる、三日やったらやめられないというのもよくわかる。

 舞台が非日常な空間を作り出す作業であるのは映画と同じだが違っているのはそこに観客も参加しているということだ。

 やった! という実感があったとき大きな拍手が湧き起こればそれは身にしみるだろう、拍手する側も拍手される側も同じ空間を共有した仲間だからだ、映画屋にだって仲間はいるし難しいカットをうまくこなしたときに拍手が湧くこともある、がそれもせいぜい3〜40人、向こうは数百人単位だ、差は大きい、これはちょっとうらやましい。

■次回は…「リカバリー」


2002年04月03日掲載

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