* 週刊フォトエッセイ*

「今日もカメラは回る」

  文・写真/根岸泉 --->Back Number


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Roll 26 リカバリー

 あるカットの撮影中に失敗があると・・・いや、失敗とまでいかなくとも、あまり良くないだけでもそのカットはNGとなりもう一回撮り直される。

 しかしその「もう一回」が出来ないことがある、普通の撮影ではめったにないが私の専門分野ではしょっちゅうある、火薬を使ったミニチュア爆破なんてのはその典型だ。

 それゆえ細心の注意を払って撮影されるのだがそれでも時には失敗する「もう一回」が出来ない撮影はまたテストが出来ない撮影でもあり、やってみなくちゃわからない撮影であることも多い。

 そういう時のリカバリーはどうするかということだ、編集でごまかすというのが一番に考えられる、ミニチュア爆破で言うならアラが見えるところをカットする、ホコリとか炎とかをダブらせて見えなくする、そのためにごまかし用の追加カットが撮られたり「ダブらし素材」が撮られたりすることもある。

 そんなことではどうにもならない場合は後処理班の出番だ、デジタル編集機(フォトレタッチソフトのムービー版と思っていただければ間違いない、描く消す、色を変える、変形するなど、なんでもござれだ)を駆使してアラを消してしまうわけだ、これがダメだとなるとCGの出番になる、そのカットの一部、あるいは全部をCGに置き換えてしまうのだ。

 しかしこういう後処理を合成屋さんは非常にいやがる、打ち合わせにない突発的なカットであり、タイト(であることが多い)な仕上げスケジュールを破壊し、予算を狂わせる、実際の作業としても合成前提で撮られていないカットは条件が悪いことも多くいやがるのは当然だろう。

 しかし合成屋さんもまた映画屋でありそのカットをなんとかしないと映画が成立しないことはわかるのでたいてい拒否出来ない、でその憤懣を現場のスタッフに文句を垂れて発散する、曰く「こういうのは後処理じゃなくて後始末って言うんです」
 (なかなかシャレた言い回しではないか)

 あるいは「デジタル編集機を万能だと思っていませんか、いったいデジタルに何が出来ると思ってるんです?」とも。

 蒔いた種の刈り取りを他人にゆだねた現場スタッフとしてはここで
「何でもできると思ってます」
 などと答えて合成屋さんを揶揄してはならないだろう。

■次回は…「後始末」


2002年04月10日掲載

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